憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~
大丈夫だと安心させるように航晴の手を握り返し――はっきりとした口調で、その言葉を紡ぐ。
「今まで私のわがままに付き合ってくれて、本当にありがとう。これからはLMM航空の次期社長。天倉航晴の妻として生きるわ」
「……いいのか」
「ええ。離れていても私を思ってくれると、約束してくれたでしょう。その言葉さえあれば、一人でも寂しくないもの」
だからもう、CAという職業にこだわらなくても大丈夫。
そう告げた私に、両親と航晴がなんともいえない表情でこちらを見つめているのが印象的だった。
「なんなのよ。皆してその顔は。LMMに娘がいることを、大々的に発表したいと大騒ぎしていたくせに」
「いや……再会した当初は、あれほど嫌だと大暴れしていたからね……。こんなに早く了承が得られるとは、思っていなかったというか……」
「そうよねぇ。私たちには無理だったけれど、航晴くんの献身的な愛が、千晴の氷を溶かしたのね」
「恐れ入ります」
私は今まで、氷のように冷たい女だったって言いたいの!?
お母さんの発言にショックを受けていれば、航晴が頭を下げるものだから驚いてしまった。
認めているようなものじゃない。もう。
さっきの言葉、訂正しようかしら……?
「発表の時期なのだけれど。できたら、春にして欲しいの」
「こちらにも準備があるからね。ちょうどいい時期ではあるけれど……。理由を聞いてもいいかい?」
「……航晴と出会って、ちょうど一年経つでしょう」
「……もう、一年経つのか」
「あと、四か月あるけれどね」
本来ならば一年前に公表するべきだった情報を世に出すなら、時期を合わせたほうが良いと思ったのよ。
最終的な判断は、お父さんに委ねられた。
「陽子、どう思う?」
「反対する理由がないわ」
「そうだね。私もそう思う。航晴も、それで構わないかな」
「もちろんです」
「人々の悪意は、時に鋭利な刃物になりうる。もう少しだけ、耐えてくれ」
「心配いりません。俺は千晴さえそばにいてくれたら、どんな理不尽にも耐えられるので……」
「まぁ。愛されているわね」
「と、当然でしょう? 航晴は私の、旦那様なのだから……」
お母さんに茶化された私は、航晴から向けられた愛を当然のように受け入れて胸を張る。
――よかった。険悪な雰囲気にならなくて。
「今まで私のわがままに付き合ってくれて、本当にありがとう。これからはLMM航空の次期社長。天倉航晴の妻として生きるわ」
「……いいのか」
「ええ。離れていても私を思ってくれると、約束してくれたでしょう。その言葉さえあれば、一人でも寂しくないもの」
だからもう、CAという職業にこだわらなくても大丈夫。
そう告げた私に、両親と航晴がなんともいえない表情でこちらを見つめているのが印象的だった。
「なんなのよ。皆してその顔は。LMMに娘がいることを、大々的に発表したいと大騒ぎしていたくせに」
「いや……再会した当初は、あれほど嫌だと大暴れしていたからね……。こんなに早く了承が得られるとは、思っていなかったというか……」
「そうよねぇ。私たちには無理だったけれど、航晴くんの献身的な愛が、千晴の氷を溶かしたのね」
「恐れ入ります」
私は今まで、氷のように冷たい女だったって言いたいの!?
お母さんの発言にショックを受けていれば、航晴が頭を下げるものだから驚いてしまった。
認めているようなものじゃない。もう。
さっきの言葉、訂正しようかしら……?
「発表の時期なのだけれど。できたら、春にして欲しいの」
「こちらにも準備があるからね。ちょうどいい時期ではあるけれど……。理由を聞いてもいいかい?」
「……航晴と出会って、ちょうど一年経つでしょう」
「……もう、一年経つのか」
「あと、四か月あるけれどね」
本来ならば一年前に公表するべきだった情報を世に出すなら、時期を合わせたほうが良いと思ったのよ。
最終的な判断は、お父さんに委ねられた。
「陽子、どう思う?」
「反対する理由がないわ」
「そうだね。私もそう思う。航晴も、それで構わないかな」
「もちろんです」
「人々の悪意は、時に鋭利な刃物になりうる。もう少しだけ、耐えてくれ」
「心配いりません。俺は千晴さえそばにいてくれたら、どんな理不尽にも耐えられるので……」
「まぁ。愛されているわね」
「と、当然でしょう? 航晴は私の、旦那様なのだから……」
お母さんに茶化された私は、航晴から向けられた愛を当然のように受け入れて胸を張る。
――よかった。険悪な雰囲気にならなくて。