憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~
十数組のカップルが居るだけでも、航晴からしてみれば不快に思う状況なようだ。
「思ったよりも人が多いな……。やはり貸し切りにするべきだったか……」
「な、何を言っているのよ! いいじゃない。このくらいならゆっくり見れるし、静かで……。独り占めなんて、する必要がないわ」
「しかし……」
「真正面からなんて、見なくてもいいじゃない。大事なのは特別な場所で、愛する旦那様と一緒にイルミネーションを見れたことだわ」
「千晴……」
真正面は人が多いと感じるかもしれないけれど、斜め後方であれば人の姿など気にならない。
イルミネーションと航晴だけを見渡せる絶好のスポットを見つけられたと喜べば、彼は瞳を潤ませて私を強く抱きしめてくる。
「航晴? どうしたの?」
「千晴が俺の妻で良かった……」
「……そんなの、今更じゃない。たとえお前なんか嫌いだと言われても、離婚するつもりはないからそのつもりで」
「ああ。絶対に言わない。愛する妻を傷つける言葉など……俺の口から紡がれるわけがないだろう」
「そうよね。航晴は、私のことが大好きだもの」
誰もが羨むラグジュアリーな体験など必要ないと言っていても。
私を喜ばせるために計画してくれたことならば、それを享受するのも悪くはない。
たとえ彼が思い描いた光景とは、程遠い時間を過ごすことになったとしても。
私にとっては充分すぎるほどにリッチな体験だと思うから。
「思ったよりも人が多いな……。やはり貸し切りにするべきだったか……」
「な、何を言っているのよ! いいじゃない。このくらいならゆっくり見れるし、静かで……。独り占めなんて、する必要がないわ」
「しかし……」
「真正面からなんて、見なくてもいいじゃない。大事なのは特別な場所で、愛する旦那様と一緒にイルミネーションを見れたことだわ」
「千晴……」
真正面は人が多いと感じるかもしれないけれど、斜め後方であれば人の姿など気にならない。
イルミネーションと航晴だけを見渡せる絶好のスポットを見つけられたと喜べば、彼は瞳を潤ませて私を強く抱きしめてくる。
「航晴? どうしたの?」
「千晴が俺の妻で良かった……」
「……そんなの、今更じゃない。たとえお前なんか嫌いだと言われても、離婚するつもりはないからそのつもりで」
「ああ。絶対に言わない。愛する妻を傷つける言葉など……俺の口から紡がれるわけがないだろう」
「そうよね。航晴は、私のことが大好きだもの」
誰もが羨むラグジュアリーな体験など必要ないと言っていても。
私を喜ばせるために計画してくれたことならば、それを享受するのも悪くはない。
たとえ彼が思い描いた光景とは、程遠い時間を過ごすことになったとしても。
私にとっては充分すぎるほどにリッチな体験だと思うから。