憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~

後輩CAの使用人と、勘弁してほしい展開

 ――明日からまた仕事だ……。

 パチリと目を見開き目覚めた私は、憂鬱な気持ちで朝を迎える。

 一昨日の夜から両親と航晴に振り回され、身体を休める暇すらない。
 今日くらいはゆっくりさせてほしいのだけれど、どうなることやら。

 ――朝風呂が日課になりつつあるのは、問題だわ……。

 ジャグジーで身を清め、ワイシャツとロングスカートを身に着けて部屋を出る。
 朝食は普通だから、気が楽だ。

「おはようございます、お嬢様!」
「……ひ……っ!?」

 考え事をしながら廊下に出た私を待っていましたとばかりに、エプロン姿の女性から声をかけられた。

 あまりにも驚きすぎて、数歩後ろに下がってしまう。

 一体何事なの?

「あたしが誰だか、わかりますー?」
「し、知りませんけど……」
「えー? そんなー。酷いですぅ。いつも一緒に、仕事してるじゃないですか! 倉橋 梨杏(くらはし りあん)ですよ!」
「えぇ……」

 フルネームを叫ばれ、ようやく顔と名前が一致した。

 ――倉橋梨杏(くらはし りあん)、確か年齢は24歳。

 何かと男遊びが派手で話題に事欠かない、悪い意味で評判の後輩CAだ。
 そんな彼女がどうして、天倉の家にいるのだろう……?

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