憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~
6章・ホテルベリーズの最上階で
七月一日の約束
航晴のことが、好きだ。
はっきりと自覚したのは、阿部機長から冗談で好きと宣言されたとき。
忘れもしない、四月一日のフライト中のことだ。
それから三か月は、あっという間に過ぎていった。
朝から晩まで業務中は、パイロットとCAとして。
オフやテイクオフの時は、許嫁として過ごす。
彼の喜怒哀楽を間近で見ていたら、憧れが自分の内に秘めてはおけないほど大きなものになっていき――。
なんでもかんでも否定するのではなく、最近は彼の意見も素直に取り入れられるようになってきた。
「休みを合わせてくれないか」
「いいわよ。いつがいいの?」
「八月二十日だ」
「それって……」
航晴から有給を取る日を指定され、花火大会が開催される日付だと気づく。
春に彼は、そこへ行きたがっていた。
都合よく休みなど取れないと適当にあしらっておいたはずなのだけれど……。
こうして提案してくる辺り、本気で足を運ぶつもりなのかもしれない。
「ああ。一緒に行こう」
「嫌よ。揉みくちゃになりながら花火を見るなんて、現実的ではないわ」
「……ああ。千晴にとって花火大会は、そうした認識だったな……」
どうしたこうしたもないでしょう。
胸の前で腕を組んで拒絶すれば、真面目な顔をした彼が堂々と告げる。
「規制が始まる前にホテルベリーズへチェックインし一泊すれば、帰宅ラッシュに巻き込まれることはない」
花火会場から徒歩で一時間以内の場所に住んでいるのに、わざわざホテルに宿泊するの?
少し遠いかもしれないけれど、高台に位置しているのだから……自宅からでも花火は見られそうだけれど。
ちょっと気を抜くと、すぐに無駄遣いしようとする。
許嫁には困ったものだわ。
はっきりと自覚したのは、阿部機長から冗談で好きと宣言されたとき。
忘れもしない、四月一日のフライト中のことだ。
それから三か月は、あっという間に過ぎていった。
朝から晩まで業務中は、パイロットとCAとして。
オフやテイクオフの時は、許嫁として過ごす。
彼の喜怒哀楽を間近で見ていたら、憧れが自分の内に秘めてはおけないほど大きなものになっていき――。
なんでもかんでも否定するのではなく、最近は彼の意見も素直に取り入れられるようになってきた。
「休みを合わせてくれないか」
「いいわよ。いつがいいの?」
「八月二十日だ」
「それって……」
航晴から有給を取る日を指定され、花火大会が開催される日付だと気づく。
春に彼は、そこへ行きたがっていた。
都合よく休みなど取れないと適当にあしらっておいたはずなのだけれど……。
こうして提案してくる辺り、本気で足を運ぶつもりなのかもしれない。
「ああ。一緒に行こう」
「嫌よ。揉みくちゃになりながら花火を見るなんて、現実的ではないわ」
「……ああ。千晴にとって花火大会は、そうした認識だったな……」
どうしたこうしたもないでしょう。
胸の前で腕を組んで拒絶すれば、真面目な顔をした彼が堂々と告げる。
「規制が始まる前にホテルベリーズへチェックインし一泊すれば、帰宅ラッシュに巻き込まれることはない」
花火会場から徒歩で一時間以内の場所に住んでいるのに、わざわざホテルに宿泊するの?
少し遠いかもしれないけれど、高台に位置しているのだから……自宅からでも花火は見られそうだけれど。
ちょっと気を抜くと、すぐに無駄遣いしようとする。
許嫁には困ったものだわ。