憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~
「リラクゼーションサービスが充実しているぞ」
「エステやスパに、興味あるように見える?」
「なら、プールはどうだ。フィットネスクラブもあるが……」
「水着姿が見たいだけ、とかじゃないでしょうね」
「正解だ」

 そんなの見て、どうするのよ……。

 このベリが丘には、ラグジュアリーホテルに宿泊できるような大富豪がわんさかいる。
 花火大会の日であれば、ホテルの施設だって貸し切りにはならないでしょう。

 別に、私たちだけが独り占めできる状態だったら水着になってもいいわけではないのだけれどね。

「身体、鍛えるの?」
「いや、今回は……。トレーニング中の姿を見ても、面白くないだろう」
「……見てみたいわ」
「な……」

 まさか乗り気になるなど、思ってもみなかったのだろう。

 花火大会よりも、汗の滴る好きな人が見たいなんて。
 花より団子ってやつかしら。
 驚いて絶句している彼から一本取ったと、私は妖艶に微笑んで挑発する。

「ふふ。有給は申請しておくわね。当日は私を、全力で楽しませるように」

 一方的な約束をすると、次のフライトに向けて歩き出した。

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