憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~
オーベルジュでプロポーズ
指輪選びが終われば、結婚式の準備だ。
翌週のオフ。
私たちはリムジンに乗り、ある場所を目指していた。
LMM航空社長に隠し子がいるという話は、すでに富裕層の間ではまことしやかに囁かれている。
ノースエリアと櫻坂を隔てる壁から、毎日のように出入りしているのだ。
情報が漏れるのはおかしなことではない。
大っぴらにはされていないので、社内でそれが私であることを知るのは父親であるキャプテンと、許嫁の航晴。
そして使用人の倉持だけだった。
「社内で誰か、結婚を報告したい人はいるか」
「いないわ。結婚式、本当にやるの?」
「ああ。キャプテンは口が固く、LMMと関わりのある人々を招き、千晴の美しさを見せびらかしたいと……」
「お披露目パーティーも兼ねた結婚式ってことね」
隠し子がいましたと後々公表するために盛大なパーティーを開くより、お祝いごとと合同でやったほうが金銭的負担は少なくて済みそうだわ。
そう考えた私は、渋々父親の思惑を了承することになった。
「場所なんだが……」
「どこでやるの?」
「それは、着いてからのお楽しみだ」
車が向かう場所を知らされていなかった私は、そこから降りて驚く。
連れてこられた場所は、結婚式のイメージとは程遠い場所だったからだ。
「オーベルジュ……?」
「ああ。離れに小さな教会と、ガーデンパーティー用の庭園が併設されている。見に行こうか」
航晴は私の腕に手を絡めると、ゆっくりとそこに向かって歩き出した。
初めて顔を合わせたときは、真っ暗だったから……景色を堪能する暇もなかったけれど……。
昼間のオーベルジュは、夜とはまた違った趣がある。
森の中に繋がる、舗装された歩道を歩くこと数分。
美しい花々が咲き乱れる開けた場所に辿り着く。
奥には建物内に嵌め込まれた七色のステンドグラスが美しい輝きを放つ洋館が見えた。
あそこが式場になっているのだろう。
「綺麗ね……」
「ああ。千晴なら、きっと気に入ってくれると思っていた」
よく手入れされた花々たちは、私たちの結婚を祝福するかのように咲き乱れる。
翌週のオフ。
私たちはリムジンに乗り、ある場所を目指していた。
LMM航空社長に隠し子がいるという話は、すでに富裕層の間ではまことしやかに囁かれている。
ノースエリアと櫻坂を隔てる壁から、毎日のように出入りしているのだ。
情報が漏れるのはおかしなことではない。
大っぴらにはされていないので、社内でそれが私であることを知るのは父親であるキャプテンと、許嫁の航晴。
そして使用人の倉持だけだった。
「社内で誰か、結婚を報告したい人はいるか」
「いないわ。結婚式、本当にやるの?」
「ああ。キャプテンは口が固く、LMMと関わりのある人々を招き、千晴の美しさを見せびらかしたいと……」
「お披露目パーティーも兼ねた結婚式ってことね」
隠し子がいましたと後々公表するために盛大なパーティーを開くより、お祝いごとと合同でやったほうが金銭的負担は少なくて済みそうだわ。
そう考えた私は、渋々父親の思惑を了承することになった。
「場所なんだが……」
「どこでやるの?」
「それは、着いてからのお楽しみだ」
車が向かう場所を知らされていなかった私は、そこから降りて驚く。
連れてこられた場所は、結婚式のイメージとは程遠い場所だったからだ。
「オーベルジュ……?」
「ああ。離れに小さな教会と、ガーデンパーティー用の庭園が併設されている。見に行こうか」
航晴は私の腕に手を絡めると、ゆっくりとそこに向かって歩き出した。
初めて顔を合わせたときは、真っ暗だったから……景色を堪能する暇もなかったけれど……。
昼間のオーベルジュは、夜とはまた違った趣がある。
森の中に繋がる、舗装された歩道を歩くこと数分。
美しい花々が咲き乱れる開けた場所に辿り着く。
奥には建物内に嵌め込まれた七色のステンドグラスが美しい輝きを放つ洋館が見えた。
あそこが式場になっているのだろう。
「綺麗ね……」
「ああ。千晴なら、きっと気に入ってくれると思っていた」
よく手入れされた花々たちは、私たちの結婚を祝福するかのように咲き乱れる。