憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~
その光景に目を奪われた私は、うっとりと顔を綻ばせて彼に寄りかかった。
「今から企画すると、実際に式を上げるのは冬頃になるわよね。寒空の下でガーデニングパーティーは、参列者の皆さんに負担となるわ……」
私が参列者として招待されていれば、主催の見えないところで何を考えているのか文句を言っていたかもしれない。
結婚を祝福するどころの話ではない。やるなら今すぐか、春頃がいいだろうか。
こちらがその行いに苦言を呈し考え込んでいれば、航晴が身体を離した。
「航晴?」
「そこに立っていてくれ」
今回もこちらの意見など聞かずに、強行するのかしら。
そう身構えていれば、その場を動かないようにと指示してきた。
訝しげな視線を向けていた私は、渋々了承する。
一体、何が始まるのかしら。
こちらが警戒していると、少し離れたところに面と向かって立っていた航晴がゆっくりとその場に片膝をついてしゃがんだ。
手にはポケットから取り出したと思われる、小さな四角い箱が握られていた。
「ねぇ。これは……」
「千晴」
こちらの戸惑いを打ち払うように。
凛とした声音で私の名を呼んだ航晴は、ゆっくりと手のひらに乗せた四角い箱をパカリと開く。
その中に入っていたのは、先週私が選んだ結婚指輪だ。
「結婚してくれないか」
結婚を持ちかけたのはこちらなのだから……断るはずがないのに。
花火大会で先を越されたことを、もしかすると悔やんでいたのかもしれない。
プロポーズは一生忘れないロマンティックな場所で、男性側から行うものだと。
両親からの入れ知恵かもしれないなと半分呆れながら、私はじっと差し出された小さな四角い箱を見つめる。
「俺のすべてをかけて、幸せにすると誓おう」
航晴は何度も誓う。
私にすべてを捧げ、幸せになれるように最善を尽くすと。
――そこまで仰々しい言葉は必要なかった。
三木航晴は、LMM航空が誇るイケメン副操縦士だ。
機長にもっとも近い男として名を馳せている。
業務態度は真面目で、ニコリとも笑顔を浮かべることはないが、プライベートで私と接するときだけはよく笑っていた。
社長の娘だから、よくしてもらっている。
「今から企画すると、実際に式を上げるのは冬頃になるわよね。寒空の下でガーデニングパーティーは、参列者の皆さんに負担となるわ……」
私が参列者として招待されていれば、主催の見えないところで何を考えているのか文句を言っていたかもしれない。
結婚を祝福するどころの話ではない。やるなら今すぐか、春頃がいいだろうか。
こちらがその行いに苦言を呈し考え込んでいれば、航晴が身体を離した。
「航晴?」
「そこに立っていてくれ」
今回もこちらの意見など聞かずに、強行するのかしら。
そう身構えていれば、その場を動かないようにと指示してきた。
訝しげな視線を向けていた私は、渋々了承する。
一体、何が始まるのかしら。
こちらが警戒していると、少し離れたところに面と向かって立っていた航晴がゆっくりとその場に片膝をついてしゃがんだ。
手にはポケットから取り出したと思われる、小さな四角い箱が握られていた。
「ねぇ。これは……」
「千晴」
こちらの戸惑いを打ち払うように。
凛とした声音で私の名を呼んだ航晴は、ゆっくりと手のひらに乗せた四角い箱をパカリと開く。
その中に入っていたのは、先週私が選んだ結婚指輪だ。
「結婚してくれないか」
結婚を持ちかけたのはこちらなのだから……断るはずがないのに。
花火大会で先を越されたことを、もしかすると悔やんでいたのかもしれない。
プロポーズは一生忘れないロマンティックな場所で、男性側から行うものだと。
両親からの入れ知恵かもしれないなと半分呆れながら、私はじっと差し出された小さな四角い箱を見つめる。
「俺のすべてをかけて、幸せにすると誓おう」
航晴は何度も誓う。
私にすべてを捧げ、幸せになれるように最善を尽くすと。
――そこまで仰々しい言葉は必要なかった。
三木航晴は、LMM航空が誇るイケメン副操縦士だ。
機長にもっとも近い男として名を馳せている。
業務態度は真面目で、ニコリとも笑顔を浮かべることはないが、プライベートで私と接するときだけはよく笑っていた。
社長の娘だから、よくしてもらっている。