憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~

ライバル登場?

 キングサイズのベッドに横たわっていた私は瞳を見開き、頭上に見える天蓋を視界に捉え、ここがどこであるかに気づく。
 オーベルジュの一室で結婚式を終えた私たちは愛を確かめ合ったあと――疲れて眠ってしまったのだろう。

 モゾモゾと身体を動かし、自分の格好を確認するためにそうっと布団の中を覗き込む

「……!」

 やはり、何も身につけていない。
 どおりで肌寒いわけだ。

 両親からプレゼントされた際どい下着と、それを覆い隠すためのタオルはベッド脇の床へ放り投げられている。
 航晴が目を覚ます前に、身につけ直したいのだけれど……。

 彼の腕が勝手にどこかへ行かないように縛りつけているためでしょうね。
 腹部に回っているせいで、席を立つことすらできそうになかった。

 これは、起こしてもいいのかしら……?

 判断に迷った私は自身の身体から目を背け、旦那の寝顔を見つめることにした。

 ――端正な顔立ちをした男性は、寝姿でさえもイケメンなのね……。

 私はドキドキと心臓を高鳴らせながら、ゆっくりと彼の頬に手を伸ばす。

 今なら好きなだけ、触りたい放題だわ……。

 航晴の意識がある時に、自分から触れようとは思わないけれど。
 こうして意識がない状態であれば、たくさん触れて愛し合いたいと思っているなんて知られたら……。

 なんだか、恥ずかしいわ……。

 顔を真っ赤にしながらも、私は次々に触れる場所を変化させていく。
 額から頬、喉仏を通り肩、逞しい胸板に、鍛え抜かれた腕――さて、ここからはどうしようかと、腰に手を伸ばした時のことだった。

「きゃ……っ!?」

 私の腰を掴んでいた手がこちらへ伸びて来て――胸元へ抱き寄せられたのは。

 驚きすぎて、らしくもない悲鳴が口から出てしまった。

 どうしよう。
 怒られてしまうわ。

 パニックになった私がおろおろと視線を彷徨わせていれば、寝起きだからでしょうね。
 不機嫌そうな声が頭上から聞こえてくる。
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