プルメリアと偽物花婿
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 二日目は、一日観光をしようと決めている。
 沖縄に来るのが初めてなこともあって定番の観光コースをなぞることにしていた。まるで海の上を走っているかのような橋をドライブして空と海を堪能し、アメリカンなハンバーガーにかぶりつき、美ら海水族館を楽しんで、ビーチでサンセットを眺める。理想的なリゾート観光デーの予定。
 まずは有名なハートロックを見るために古宇利島に渡る、のだけど。

「あ、ちょっとだけ寄りたいところがあるんですけどいいですか?」

 レンタカーのカーナビの目的地を古宇利島に設定している私に和泉はそう言った。

「なんてとこ?」

 目的地を変更しようと訊ねると

「五分くらいのところですし、ナビは必要ないですよ」

 和泉はそう言うと、目的地と逆方向に車は発進した。
 和泉の言う通り、すぐに目的地に到着した。海沿いの白い建物だ。――レストランだろうか。先ほど朝食を食べたばかりでお腹はいっぱいだけど。

「ここは? レストラン? 雑貨屋さんとか?」
「まあそんなところです」

 駐車場から建物の方に移動すると、小さなガーデンがあり奥にはお洒落でシンプルな白い建物がある。
 和泉は迷うことなく建物に進むと、重厚そうな扉を開いた。そして扉を開いたまま私が入るのを待っている。

「どうぞ」

 なんだか高級そうな雰囲気におずおずと足を進めると――……。

「わあ」

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