プルメリアと偽物花婿
思わず声が出た。まばゆい白と鮮やかな青が目に飛び込んでくる。――扉の向こうはチャペルだった。
目の前はガラス張りで空と海が輝いている。白のチャペルに空なのか海なのか、わからないほどの青。
光が白い大理石に反射してキラキラと眩しく、今から歩む道を示している。
「和泉……」
「せっかくなので、前方まで歩きましょう」
和泉が腕を差し出すので、私はそっと手を絡ませた。和泉はゆったりと歩いているけど私はうまく歩けている自信がない、緊張で。
ハワイで偽物の愛を誓った日のように。私たちは祭壇で向かい合う。
「えーっと、もう扉を開けた時点で意図に気づいてるとは思うんですけど」
和泉はそう言ってはにかむ。
「うん」
たった二文字なのに、言葉が震えてしまう。意図に気づいているかと言われたら、気づいた。だけど頭の中は真っ白で何も追いついていない。
「ハワイの挙式でも俺は嘘は一つも誓ってません。あの時から変わらず俺はずっと凪紗先輩のことが好きです。だけどあの時は偽物の新郎だったから、未来までは誓えませんでした」
和泉はそう言うと、祭壇に手を伸ばした。そこに置いてあったのはプルメリアのブーケ。
「やっぱり俺たちはこれかな、と思って」
「ふふ、嬉しい」
ブーケを受け取って抱きしめる。
「プルメリアは大切な人の幸せを願う、という意味があることは知ってると思いますし、俺もハワイ挙式の時はその花言葉を考えていました。――他にもハワイでは言い伝えがあるんです。プルメリアは花弁は五枚があって、」
目の前はガラス張りで空と海が輝いている。白のチャペルに空なのか海なのか、わからないほどの青。
光が白い大理石に反射してキラキラと眩しく、今から歩む道を示している。
「和泉……」
「せっかくなので、前方まで歩きましょう」
和泉が腕を差し出すので、私はそっと手を絡ませた。和泉はゆったりと歩いているけど私はうまく歩けている自信がない、緊張で。
ハワイで偽物の愛を誓った日のように。私たちは祭壇で向かい合う。
「えーっと、もう扉を開けた時点で意図に気づいてるとは思うんですけど」
和泉はそう言ってはにかむ。
「うん」
たった二文字なのに、言葉が震えてしまう。意図に気づいているかと言われたら、気づいた。だけど頭の中は真っ白で何も追いついていない。
「ハワイの挙式でも俺は嘘は一つも誓ってません。あの時から変わらず俺はずっと凪紗先輩のことが好きです。だけどあの時は偽物の新郎だったから、未来までは誓えませんでした」
和泉はそう言うと、祭壇に手を伸ばした。そこに置いてあったのはプルメリアのブーケ。
「やっぱり俺たちはこれかな、と思って」
「ふふ、嬉しい」
ブーケを受け取って抱きしめる。
「プルメリアは大切な人の幸せを願う、という意味があることは知ってると思いますし、俺もハワイ挙式の時はその花言葉を考えていました。――他にもハワイでは言い伝えがあるんです。プルメリアは花弁は五枚があって、」