プルメリアと偽物花婿
4 会社では見せない後輩の素顔
童話みたいな世界から戻ってきた。
可愛くて明るい白いチャペルと、絵本からそのまま抜け出したような青い空と海、鮮やかな緑。
タキシードとウエディングドレスを脱ぐと、一気に夢から醒めたみたいだ。
「でもここも非現実だなあ」
ホテルのプールサイド。ベージュのパラソルの下、白いリクライニングチェアに寝そべって空を眺めている。視界には白いホテルと青い空。ハワイに来て何百回と感じたことだけど白と青はどうしてこんなに美しいんだろう。強い日差しは柔らかく遮られ、爽やかな空気の中で空を見上げているだけ。それだけなのに飽きないし、ずっとこうしていられそうだ。日本の現実と流れる時間が違う。
お昼過ぎにはワイキキに戻ってきて、午後はゆったりと過ごすことに決めた。
たいして何もしていないように見えて、挙式というのは想像以上に疲れる。お昼はテイクアウトのハンバーガーを買ってきて部屋で食べて、そのままのんびり憧れホテルステイをすることに決めたのだ。
ビーチまで出かけようかと思ったけど、今は賑やかな場所よりもゆったりと過ごしたい気持ちが勝った。
「何もしない贅沢ってやつですよね」
隣の白いチェアに寝転んでいる和泉はそう言うと、少し身体を起こしてカクテルを口に運んだ。
ほんの少しプールに入って、あとはプールサイドで販売しているお酒を飲みながら、ただ風を感じて空を見上げる。
私も和泉もあまりしゃべらなかった。時々目に見えるものをつぶやいたりはしたけど。言葉を交わさずにいられるこの空気感が心地よかった。
山田さんや婚活中に出会った男性と話すときは、いつも会話が途切れないように努力していたかもしれない。ずっと喋り続けないと、間がもたなくて何か喋らなくてはと急かされるように話題を探し続けた。
会社にいる時の和泉は結構おしゃべりだし、仕事で直接関わるわけだから一緒にいる時は常に何かを話していた気がする。女子会に参加するときも聞き役だとしてもいつも盛り上げてくれていたし。
だからこうして口数が多くない和泉を見るのは不思議だ。でもそんな和泉が全然嫌じゃないからもっと不思議だ。
私たちは夕方までそうして時間を過ごした。
可愛くて明るい白いチャペルと、絵本からそのまま抜け出したような青い空と海、鮮やかな緑。
タキシードとウエディングドレスを脱ぐと、一気に夢から醒めたみたいだ。
「でもここも非現実だなあ」
ホテルのプールサイド。ベージュのパラソルの下、白いリクライニングチェアに寝そべって空を眺めている。視界には白いホテルと青い空。ハワイに来て何百回と感じたことだけど白と青はどうしてこんなに美しいんだろう。強い日差しは柔らかく遮られ、爽やかな空気の中で空を見上げているだけ。それだけなのに飽きないし、ずっとこうしていられそうだ。日本の現実と流れる時間が違う。
お昼過ぎにはワイキキに戻ってきて、午後はゆったりと過ごすことに決めた。
たいして何もしていないように見えて、挙式というのは想像以上に疲れる。お昼はテイクアウトのハンバーガーを買ってきて部屋で食べて、そのままのんびり憧れホテルステイをすることに決めたのだ。
ビーチまで出かけようかと思ったけど、今は賑やかな場所よりもゆったりと過ごしたい気持ちが勝った。
「何もしない贅沢ってやつですよね」
隣の白いチェアに寝転んでいる和泉はそう言うと、少し身体を起こしてカクテルを口に運んだ。
ほんの少しプールに入って、あとはプールサイドで販売しているお酒を飲みながら、ただ風を感じて空を見上げる。
私も和泉もあまりしゃべらなかった。時々目に見えるものをつぶやいたりはしたけど。言葉を交わさずにいられるこの空気感が心地よかった。
山田さんや婚活中に出会った男性と話すときは、いつも会話が途切れないように努力していたかもしれない。ずっと喋り続けないと、間がもたなくて何か喋らなくてはと急かされるように話題を探し続けた。
会社にいる時の和泉は結構おしゃべりだし、仕事で直接関わるわけだから一緒にいる時は常に何かを話していた気がする。女子会に参加するときも聞き役だとしてもいつも盛り上げてくれていたし。
だからこうして口数が多くない和泉を見るのは不思議だ。でもそんな和泉が全然嫌じゃないからもっと不思議だ。
私たちは夕方までそうして時間を過ごした。