プルメリアと偽物花婿
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「はあ? 凪紗と和泉が結婚?」
菜帆はランチセットのスープを飲んでいたところで、そのまま思い切りむせこんだ。菜帆は私の同期で、同じメディアコンテンツ部のデザイナーチームに所属している親友だ。
「大丈夫ですか。これ飲んでください」
和泉が手渡すグラスを受け取り一気に水を飲むと、菜帆はようやく落ち着いたようで赤くなった頬をぱたぱたと仰いでいる。
社会復帰したその日。「結婚式の写真見せてよ~。あとお願いしてたもの買ってきてくれた?」と話しかけてきた菜帆をランチに連れ出した。
私たちの(仮)恋人関係について、会社では内密に!ということにしていたが(和泉は不服そうだったけど)菜帆にごまかすわけにはいかない。
「なにこれ。本当じゃん」
笑顔の和泉が見せたのはツーショットの写真。挙式や撮影の時にコーディネーターさんが和泉のスマホで撮ってくれていたもの。
「説明してから見せないと、混乱させ――」
「やっぱり二人そうだったんだ? 私まで騙すとはねえ」
先ほどは驚いた表情をしていた菜帆がにやにやとした表情に変わる。
「やっぱりって何。なにも騙してないけど……」
「凪紗の結婚相手、和泉じゃないかって言われてたよ。この一週間」
「え?」
「それで俺、みんなにおめでとうと言われたんですね」
和泉は呑気な声で思いだすように言った。私もハワイのお土産を配った時におめでとうと言われたが、断食道場に行くと言っていた和泉におめでとうはおかしい。
「和泉の気持ちに気づいてなかったのなんて凪紗くらいだしねえ」
「ええ?」
「というか一週間も休み合わせたら普通にばれるよね」
「違う違う、和泉は断食道場のために休みを取ってたんだよ!」
「リーダーにも行先は同じなのか聞かれて、違うとは言ったんですよ。それなら休みをずらせとは言われましたけど」
「それでも、もぎ取ったのがすごいね」
「当たり前ですよ。有給は自由であるべきですから」
和泉は平然と答える。
えぇっと……私と和泉が結婚したと周りから思われている……!? いや、結婚したのは間違いないんだけど……!
「はあ? 凪紗と和泉が結婚?」
菜帆はランチセットのスープを飲んでいたところで、そのまま思い切りむせこんだ。菜帆は私の同期で、同じメディアコンテンツ部のデザイナーチームに所属している親友だ。
「大丈夫ですか。これ飲んでください」
和泉が手渡すグラスを受け取り一気に水を飲むと、菜帆はようやく落ち着いたようで赤くなった頬をぱたぱたと仰いでいる。
社会復帰したその日。「結婚式の写真見せてよ~。あとお願いしてたもの買ってきてくれた?」と話しかけてきた菜帆をランチに連れ出した。
私たちの(仮)恋人関係について、会社では内密に!ということにしていたが(和泉は不服そうだったけど)菜帆にごまかすわけにはいかない。
「なにこれ。本当じゃん」
笑顔の和泉が見せたのはツーショットの写真。挙式や撮影の時にコーディネーターさんが和泉のスマホで撮ってくれていたもの。
「説明してから見せないと、混乱させ――」
「やっぱり二人そうだったんだ? 私まで騙すとはねえ」
先ほどは驚いた表情をしていた菜帆がにやにやとした表情に変わる。
「やっぱりって何。なにも騙してないけど……」
「凪紗の結婚相手、和泉じゃないかって言われてたよ。この一週間」
「え?」
「それで俺、みんなにおめでとうと言われたんですね」
和泉は呑気な声で思いだすように言った。私もハワイのお土産を配った時におめでとうと言われたが、断食道場に行くと言っていた和泉におめでとうはおかしい。
「和泉の気持ちに気づいてなかったのなんて凪紗くらいだしねえ」
「ええ?」
「というか一週間も休み合わせたら普通にばれるよね」
「違う違う、和泉は断食道場のために休みを取ってたんだよ!」
「リーダーにも行先は同じなのか聞かれて、違うとは言ったんですよ。それなら休みをずらせとは言われましたけど」
「それでも、もぎ取ったのがすごいね」
「当たり前ですよ。有給は自由であるべきですから」
和泉は平然と答える。
えぇっと……私と和泉が結婚したと周りから思われている……!? いや、結婚したのは間違いないんだけど……!