漆黒に溺れて
「あの重ね重ねありがとうございました」


「ん」


「あの私帰りますね」


「じゃあ駅まで」


「え?」


意味がわからず首を傾げてたら男は裏口のドアに手をかけて


「行かねぇの?」


こっちを不思議そうに見てくる


あ、送ってくれるってことか


分かりにくい優しさに戸惑いつつ一緒にクラブを出る


二人で駅に向かうも気まずい無言の時間が続き


なんか話題を振るべきか悩みながらチラッと隣も見るも
無表情でなに考えてるか分からなかった



「あの~」


「、、、何?」


「あ、いや、えっと、、、あっ!名前!教えてほしいなぁなんて」


結局上手い話題も見つからず名前を聞いてしまう


「……」


やばい変な女に思われた


「まずは自分から名乗れって感じですよね~。私、成瀬百合です」


「……」


「興味ないですよね…」


< 16 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop