御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして～身を引いたのに一途に迫られています～【極甘婚シリーズ】

双子のために帰ってきたのだと言う彼に、有紗は心底驚いた。

巨大な企業の上に立ちたくさんの人の人生を背負っている彼にはやることは際限なくある。

それなのに、ふたりのために時間を割いてくれたなんて……。
　
龍之介が気を取り直したように、もう一度咳払いをした。

「夕食はどうするんだ？　今から作るのか？」

「はい。材料は買ってあります。でも、私たちの分だけで……。すみません、こんなに早くお戻りになると思わなかったから」

「気にしなくていい。俺は後でデリバリーを頼む。それに君は家では俺のことは一切なにもしなくていいから、そんな風に謝る必要はまったくない。メニューはなに？　材料はキッチンか？」

「……はい。野菜を入れたうどんにしようと思ってて。冷蔵庫に入れてあります」
　
龍之介が頷いて立ち上がった。

「俺が作るよ、君は子供たちと一緒にいてあげて。ママが離れると怖いだろう」

「え？　副社長が？」
　
戸惑う有紗に、龍之介がふっと笑った。

「心配しなくても、うどんくらい作れるよ。駐在時代は自炊が基本だったんだから」
　
笑いながらキッチンへ行く。

「なにか注意することは？」

「え⁉︎　えーっと、普通よりも柔らかく煮て下さい。それから長いと食べづらいので短く切っていただけるとありがたいです。できれば少し薄味で……」
　
驚いたまま有紗は彼の質問に答える。
　
龍之介が「了解」と言って、冷蔵庫を開けて材料を確認している。

「卵は使ってもいい？」

「はい、……大丈夫です」

唖然としたまま答えると、鍋を出してさっそく作りはじめた。