御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして～身を引いたのに一途に迫られています～【極甘婚シリーズ】

同居の条件

「今日はありがとうございました」
　
ソファに座る龍之介の前に、有紗はコーヒーを置く。

「ありがとう」
　
龍之介は答えるが、視線はリビングの一角に作られた双子のためのプレイコーナーに向いている。

さっきまで双子がきゃあきゃあ言いながら彼に遊んでもらっていた場所だ。
　
その優しい眼差しに、有紗は不思議な気持ちになる。
　
美味しいうどんを食べたあと、少し彼に気を許した双子は、しばらく彼と遊んだ。

抱き上げて高く上げてもらったり、追いかけ合いをしたりと大騒ぎで、すっかり仲良くなったのだ。
　
その後ふたりは風呂に入り今は寝室でぐっすりである。
　
これならばなんとかやっていけると、とりあえずホッとしてはいるが、想定していた同居生活とはまったく違うはじまりに、少し戸惑っている。
　
彼との同居生活は、広い家で、彼に迷惑がかからないように互いにあまり関わらないように過ごすのだと思っていた。
　
それなのに、初日から思い切り関わってしまっている。

「子供たちは家に慣れたみたいだな」

「はい、なにからなにまで準備していただいて……ありがとうございます」
　
プレイコーナーは、引っ越してきだ時にはすでに、コーディネーターによって設置されていた。龍之介の指示だという。

「いや、大したことはできていない。必要なことはなんでもするから君からも相談してほしい」
　
言いながら龍之介が手を差し出して、有紗に座るように促した。
　
有紗はコーナーソファの斜めの位置に座る。

あの会談の日以来のふたりきりという状況に、鼓動がドキドキとスピードを上げた。
　
龍之介がコーヒーを飲む。そしてカップを置いて有紗を見た。

「少し話をしようか。これからの生活について、いくつか決めておきたいことがある」

「はい」
　
有紗は少し緊張する。
　
有紗と双子、龍之介が一緒に生活するうえで、ルールを決めるのは当然だ。
　
多忙を極める彼がリラックスできるのは自宅だけで、しかもそれすら、ほんの少しの時間しか取れないのだ。