御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
二年間離れていたのは、彼のせいではない。

それに彼はふたりの存在を知ってからは、最大限できることはしてくれている。
 
さっきはうどんを作ってくれて、子供たちとたくさん遊んでくれた。

不安どころか子供たちにとってはいいことに違いない。

どんなに愛情深く育てても有紗は父親の代わりにはなれないのだから。

「そんな風には思いません。ただ、そこまで考えてくださっているとは思っていなくて……驚いただけです」
 
言葉に力を込めて有紗が言うと、龍之介が安心したように微笑んだ。

「ありがとう。さっそく明日から子供たちのことについていろいろ教わろうと思ってる。四日間仕事を休むことにした」

「え⁉︎ 四日も? 子供たちのために……?」

「ああ、四日しか取れなくて申し訳ない。ここ最近まともに休んでいなかったから千賀からはむしろ大歓迎だと言われたが」

「……なら、子供たちのことはまたにして、ゆっくりお休みになられた方が……」
 
彼のコンディションは会社の企業経営に直結する。

なににおいても優先するべき事柄だ。でも彼に、ジロリと睨まれて口を閉じた。

「君は休みの日に、ゆっくり休めるのか?」

「え? ……いえ」
 
意外な彼からの問いかけに、戸惑いながら答えた。
 
有紗の休みは休みではない。双子の相手をしながら溜まった家事をしなくてはならないからだ。

それもできればいい方で、たいていは双子にかかり切りになっているうちに一日が終わってしまう。

ゆっくり休むなんて、夢のまた夢だった。

「俺は子供たちのことをするために仕事を休むんだ。ゆっくりするために休むのではない」
 
きっぱりと言う彼の勢いに圧倒されて有紗は頷く。

「わ、わかりました……」
 
龍之介が声を和らげた。

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