御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
詩織との縁談が噂に過ぎなかったのなら、他のところから降るように縁談の話があるはずだ。
龍之介が切れ長の目を細めた。
「……どうしてか知りたいか?」
問いかけながら、有紗との距離をつめる。有紗の後ろの背もたれに腕を回した。
ふわりと感じるムスクの香りと、自分を見つめる鋭い視線。
有紗の背中を甘い痺れが駆け抜けた。
龍之介が有紗を見据えたまま、口を開く。
「ル・メイユールで君と過ごしたあの夜以来、俺はほかの女性を抱けなくなった」
唐突にあの一夜のことを口にされて、有紗は目を見開いて息を呑んだ。
「責任をとってくれ」
唐突びに不穏な言葉を口にする彼に、有紗の頭が混乱する。
「せ、責任って……。そんな、私はただの秘書です」
「ただの秘書、か。本当に? 有紗?」
「た、ただの秘書です……。私、秘書としてそばにいるために戻ってきたのです。そうでないなら、もとの職場に戻らせていただきます」
責任を取るということが、いったいどういうことなのか、まったくわからないけれど、自分がそんな立場にないことははっきりとわかる。
「それでいいのか? ……ここにいなくても?」
そう言って彼は、リビングから廊下へ続くドアを見た。
そうだ、自分は子供たちのためにここにいる。
父親である彼のそばにいることが、彼らにとっていいことだとさっき確信したばかりじゃないか。
子供たちのために有紗はここにいる……。
——その時。
「冗談だ」
龍之介が噴き出した。そのまま向こうを向いて笑っている。
その彼の反応に、有紗は唖然とする。
「冗談だよ。そんなこの世の終わりのような顔をするな。傷つくじゃないか」
そこでようやくからかわれたのだと気がついた。
「だだだだって……! 副社長が、そんな冗談を言うなんて思わなくて」
龍之介が切れ長の目を細めた。
「……どうしてか知りたいか?」
問いかけながら、有紗との距離をつめる。有紗の後ろの背もたれに腕を回した。
ふわりと感じるムスクの香りと、自分を見つめる鋭い視線。
有紗の背中を甘い痺れが駆け抜けた。
龍之介が有紗を見据えたまま、口を開く。
「ル・メイユールで君と過ごしたあの夜以来、俺はほかの女性を抱けなくなった」
唐突にあの一夜のことを口にされて、有紗は目を見開いて息を呑んだ。
「責任をとってくれ」
唐突びに不穏な言葉を口にする彼に、有紗の頭が混乱する。
「せ、責任って……。そんな、私はただの秘書です」
「ただの秘書、か。本当に? 有紗?」
「た、ただの秘書です……。私、秘書としてそばにいるために戻ってきたのです。そうでないなら、もとの職場に戻らせていただきます」
責任を取るということが、いったいどういうことなのか、まったくわからないけれど、自分がそんな立場にないことははっきりとわかる。
「それでいいのか? ……ここにいなくても?」
そう言って彼は、リビングから廊下へ続くドアを見た。
そうだ、自分は子供たちのためにここにいる。
父親である彼のそばにいることが、彼らにとっていいことだとさっき確信したばかりじゃないか。
子供たちのために有紗はここにいる……。
——その時。
「冗談だ」
龍之介が噴き出した。そのまま向こうを向いて笑っている。
その彼の反応に、有紗は唖然とする。
「冗談だよ。そんなこの世の終わりのような顔をするな。傷つくじゃないか」
そこでようやくからかわれたのだと気がついた。
「だだだだって……! 副社長が、そんな冗談を言うなんて思わなくて」