御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
思いがけない言葉に、有紗は息を呑む。
 
じわりと視界が滲んだ。
 
ひとりで生む決断をしたことを、非難されることはあっても感謝されるとは思ってもみなかった。
 
嬉しかった。
 
もちろん有紗は誰かに褒められたくて彼らを生み育ててきたわけではない。それでも今までの道が険しく困難の連続だったのは事実だ。

時にそれが喜びを勝り泣いてしまった夜もある。子供たちの父親である彼がそう言ってくれるなら、すべて報われた。
 
でも一方で、これほどまでまでに彼が子供たちに愛情をそそいでくれることに、少し不思議に思ってもいた。
 
突然現れた息子たちを受け入れるだけでなくこんなに愛してくれるなんて。

「あの……。ひとつお聞きしてもいいですか?」
 
涙を拭いて有紗は尋ねる。
 
龍之介が頷いた。

「龍之介さんは……以前から子供がほしかったんですか?」
 
やや曖昧な問いかけになってしまう。どうしてここまで彼らを大切にするのかと直接聞くことはできなかった。でもそれで、有紗の疑問は、龍之介に伝わったようだ。

「実の子とはいえ、会ったばかりなのになぜ俺がふたりを大切に思うのか、君は疑問に思っているんだな?」
 
有紗に向かって確認する。

恐る恐る頷くと、彼はベリが丘の夜景に視線を移した。

「なぜ、か……」
 
そして深く息を吐いて話しはじめた。

「君がいない間、俺がこの街でどうすごしていたと思う?」

「え……?」

「表向きは、まったく変わらなかったよ。今まで通り会社のために働いて、責任を果たし続けた。なにひとつ、変わらない。……でも」
 
彼はそこで言葉を切って自嘲する。そして有紗に視線を戻した。

「心の中は、正反対。すべてが意味を失って、くだらないことに思えたよ。会社がどうなろうと俺には関係がない。業績も社員たちも、俺自身でさえもどうでもいい」
 
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