御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
龍之介の過去を口にした同僚に、有紗の胸がズキンと鳴る。
「それにしてもいつまでもここにいるのかな?。真山さん、副社長からなにか聞いてない?」
「……とくにはなにも」
答えると、彼女はガックリと肩を落とした。
「まぁ、いっか。じゃあ、私、社食行ってくる」
そう言って彼女は立ち上がりオフィスを出ていった。
有紗は家から持ってきたおにぎりを出す。窓の外、春の日差しに照らされたツインタワーを眺める。その向こうに港が見えた。
あの港に停泊していた豪華客船での夜を思い出した。
返事はいつでもいいと言った彼は、あれからまったくそれまでと同じような態度だ。
でもふとした瞬間に自分を見つめる眼差しに、特別な色が混ざっているのは、気のせいではないはずだ。
それに気がついてしまうたびに、有紗の心はぐらぐらと揺れた。
彼と生涯をともにする。そんな覚悟はないくせに、身を委ねたいともうひとりの自分が叫ぶ。
ときに心が引き裂かれそうになるけれど、こうやってオフィスにいる時だけは冷静になれる。
大企業の副社長としての彼を目にするたびに、やはり自分とは住む世界が違う人なのだ、と確認できるからだ。
家柄も容姿も華やかな詩織でさえ、彼の隣に並ぶには物足りないと言われるのだ。有紗など話にもならない。
それをしっかり確認して、有紗はおにぎりの包みを開けた。
「それにしてもいつまでもここにいるのかな?。真山さん、副社長からなにか聞いてない?」
「……とくにはなにも」
答えると、彼女はガックリと肩を落とした。
「まぁ、いっか。じゃあ、私、社食行ってくる」
そう言って彼女は立ち上がりオフィスを出ていった。
有紗は家から持ってきたおにぎりを出す。窓の外、春の日差しに照らされたツインタワーを眺める。その向こうに港が見えた。
あの港に停泊していた豪華客船での夜を思い出した。
返事はいつでもいいと言った彼は、あれからまったくそれまでと同じような態度だ。
でもふとした瞬間に自分を見つめる眼差しに、特別な色が混ざっているのは、気のせいではないはずだ。
それに気がついてしまうたびに、有紗の心はぐらぐらと揺れた。
彼と生涯をともにする。そんな覚悟はないくせに、身を委ねたいともうひとりの自分が叫ぶ。
ときに心が引き裂かれそうになるけれど、こうやってオフィスにいる時だけは冷静になれる。
大企業の副社長としての彼を目にするたびに、やはり自分とは住む世界が違う人なのだ、と確認できるからだ。
家柄も容姿も華やかな詩織でさえ、彼の隣に並ぶには物足りないと言われるのだ。有紗など話にもならない。
それをしっかり確認して、有紗はおにぎりの包みを開けた。