御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
キスだけで…
子供たちが寝静まった自宅のリビングで、有紗はタブレットを手に考え込んでいる。龍之介のスケジュール調整に頭を悩ませているのだ。
役員のスケジュールは、会社にとって重要な機密事項。
本来なら、会社以外では見られないが、リモートワークの許可が下りている有紗は、龍之介の家の中に限りアクセスできるようになっている。
時短勤務残業なしの有紗は、千賀から勤務時間内にできることのみをやれと言われているが、どうしても気になるからだ。
有紗のいなかった二年間の龍之介のスケジュールは過密なんてものではなかった。
休憩時間はおろか、まともに休日をとっていなかったのだ。
秘書課のメンバーは、龍之介から大丈夫だから入れてくれ、と言われていたようだ。
専属の秘書がおらず、彼の仕事の優先順位がわからずに、入れるしかなかったようだ。
「よくこれで倒れなかったな……」
有紗はため息をついて、暗澹たる思いで呟いた。
客船での夜の彼の苦しげな言葉が頭に浮かぶ。自分を見つめる切ない視線を思い出し、胸が痛んだ。
彼は愛を失った苦しさから逃れるように仕事に没頭したのだろうか。
あの夜、彼の言葉を聞いた時は信じられないと思ったけれど、今は嘘偽りない彼の本心だと感じている。
子供たちと過ごす時間、ふとした瞬間に自分を見つめる彼の視線と、今まで彼がくれた言葉……。
それでもその彼の想いに応えることはできなかった。立場の違いは越えられない。子供たちがいるならなおさらだ。
「ただいま」
声をかけられてビクッとする。
役員のスケジュールは、会社にとって重要な機密事項。
本来なら、会社以外では見られないが、リモートワークの許可が下りている有紗は、龍之介の家の中に限りアクセスできるようになっている。
時短勤務残業なしの有紗は、千賀から勤務時間内にできることのみをやれと言われているが、どうしても気になるからだ。
有紗のいなかった二年間の龍之介のスケジュールは過密なんてものではなかった。
休憩時間はおろか、まともに休日をとっていなかったのだ。
秘書課のメンバーは、龍之介から大丈夫だから入れてくれ、と言われていたようだ。
専属の秘書がおらず、彼の仕事の優先順位がわからずに、入れるしかなかったようだ。
「よくこれで倒れなかったな……」
有紗はため息をついて、暗澹たる思いで呟いた。
客船での夜の彼の苦しげな言葉が頭に浮かぶ。自分を見つめる切ない視線を思い出し、胸が痛んだ。
彼は愛を失った苦しさから逃れるように仕事に没頭したのだろうか。
あの夜、彼の言葉を聞いた時は信じられないと思ったけれど、今は嘘偽りない彼の本心だと感じている。
子供たちと過ごす時間、ふとした瞬間に自分を見つめる彼の視線と、今まで彼がくれた言葉……。
それでもその彼の想いに応えることはできなかった。立場の違いは越えられない。子供たちがいるならなおさらだ。
「ただいま」
声をかけられてビクッとする。