御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
自分と彼は釣り合わない。
 
そんなことは知っていた。でも直接彼の口から聞くと、衝撃は想像以上だ。

『にしてもお前、相変わらずだな。裏表ありすぎ! 俺お前が真面目な顔して全校集会で話してる時、笑いをこらえるの大変なんだぜ』

『生徒会なんか受験のために決まってるだろ。いい顔してる方が得なことが多いんだよ。騙される方がバカ。ちょっと優しくしただけで勘違いするから、地味子はうっとおしい』

『最低だな!』
 
なにがおかしいのか、彼らはギャハハと笑い出す。
 
自分に対するひどい評価もショックだが、なにより明るくて優しい学校の人気者の彼の裏の顔が怖かった。

『あんな地味子、俺を好きなんて百年早えよ。鏡見てから言えって感じ』
 
最後に言い放った彼の言葉が、今も耳に残っている。
 
その日から有紗は、すっかり恋愛に臆病になってしまった。
 
叶うなんて思っていなかった。
 
ただ見ているだけでよかったのに。
 
好きになっただけで、あんな思いをするくらいなら、もう一生恋なんてしたくない。
 
男性とは最低限の関わりだけ。プライベートで親しくなるのは避けて、それまで以上に、真面目に勉強に取り組んだ。
 
社会人になった今も、仕事の関わりだけにして、飲み会も合コンに近いものや出会いを求めるような類いのものは断っている。
 
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