御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
海外事業部の社員なら話をしてもおかしくない相手だが、一般職の自分にその機会がやってくるとは思わなかった。
「君は、真山さんだね?」
問いかけられて、有紗は一瞬言葉に詰まる。彼が自分の名前を口にしたことに驚いたからだ。
「は……い。ご存知なんですね」
思っていることがそのまま口から出てしまう。彼がランチミーティングに出たこともない自分の名前を把握していることが驚きだった。
「全社員とまではいかないまでも、海外事業部の社員はね」
こともなげにそう言って、彼は、有紗のパソコンのモニターに視線を移す。
「それは、ジャカルタ支社からのデータ? 届いたのか、何時に?」
「今日の九時頃です。明日の役員会議に間に合うようにまとめています」
「なるほど」
彼は有紗の机に手をついて、画面をジッと見つめる。
少し近くなった距離、ほのかに甘いムスクの香りをふわりと感じて、有紗の胸がどきりとする。
遠くから見る彼は完璧だが、近くから見ても感想は変わらなかった。
綺麗な横顔、モニターを見つめる真剣な眼差し。
普通の社員なと望みはないとわかっていても、お近づきになりたいと皆が思うのも納得だ。
龍之介がモニターから目を離し、有紗に視線を戻した。
「九時に送られてきたデータをここまでまとめたのか。君ひとりで?」
「え? ……はい」
答えると目を細めてなにか思案しているような表情になった。
「あの……。どこか不備がありましたか?」
心配になって有紗は尋ねる。いくら仕事が早くてもミスをしては意味がない。
「君は、真山さんだね?」
問いかけられて、有紗は一瞬言葉に詰まる。彼が自分の名前を口にしたことに驚いたからだ。
「は……い。ご存知なんですね」
思っていることがそのまま口から出てしまう。彼がランチミーティングに出たこともない自分の名前を把握していることが驚きだった。
「全社員とまではいかないまでも、海外事業部の社員はね」
こともなげにそう言って、彼は、有紗のパソコンのモニターに視線を移す。
「それは、ジャカルタ支社からのデータ? 届いたのか、何時に?」
「今日の九時頃です。明日の役員会議に間に合うようにまとめています」
「なるほど」
彼は有紗の机に手をついて、画面をジッと見つめる。
少し近くなった距離、ほのかに甘いムスクの香りをふわりと感じて、有紗の胸がどきりとする。
遠くから見る彼は完璧だが、近くから見ても感想は変わらなかった。
綺麗な横顔、モニターを見つめる真剣な眼差し。
普通の社員なと望みはないとわかっていても、お近づきになりたいと皆が思うのも納得だ。
龍之介がモニターから目を離し、有紗に視線を戻した。
「九時に送られてきたデータをここまでまとめたのか。君ひとりで?」
「え? ……はい」
答えると目を細めてなにか思案しているような表情になった。
「あの……。どこか不備がありましたか?」
心配になって有紗は尋ねる。いくら仕事が早くてもミスをしては意味がない。