御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
秘書と龍之介は、子供までいたというただれた関係で、今後の天瀬商事とJEDグループの取引にも影響が出かねないという、ひどいものだった。
 
渡辺家の令嬢とはすなわち詩織のことだろう。

彼女との縁談が持ち込まれたのは事実だが、三年も前に断っている。婚約破棄などという事実はない。

しかもそれが有紗との関係が原因などもってのほかだ。
 
とはいえ、その通知が来た時の秘書室は騒然となった。

有紗を含めた皆が真っ青になったが、当の龍之介はひとり落ち着いていた。

『私に任せてくれ』
 
そう言ってその日一日の予定をキャンセルし、行き先を告げずに外出した。
 
——そして次の日。
 
記事への対応について緊急の取締役会が開かれることになった。

記事の内容は、龍之介のプライベートだけでなく、取引先企業にまで及ぶもので、会社として対応する必要があるからだ。
 
社長である天瀬一郎が帰国する昼過ぎに合わせて開かれることになった。
 
その直前。

秘書課に、龍之介と有紗、千賀とその他の秘書課のメンバーが集まった。龍之介が話があると言って皆を集めたのだ。
 
詩織は、週刊誌からの通知が来た日から無断欠勤していた。
 
秘書課の社員が有紗と龍之介を気まずそうに見ている。
 
有紗の子の父親がまさか龍之介だと思っていなかった彼らからしてみれば、晴天の霹靂ともいえる出来事で、聞きたいことが山ほどあるはずだ。だがとりあえず静観してくれている。

有紗はそれをありがたいと思う。だからこそ申し訳なかった。
 
有紗と子供たちとのことがどこから漏れたのかは不明だが、まさかここまで悪意のある書き方をされるとは思わなかった。

会社に損害を与えたら、彼らにも迷惑がかかる。
 
まず龍之介は彼らに向かって口を開く。

< 162 / 178 >

この作品をシェア

pagetop