御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
異動
次のランチミーティングには必ず参加する。有紗はそう決めていたが、結局それは叶わなかった。
一カ月後、有紗に異動の辞令が下りたからだ。
異動先は秘書課。時期はずれ、それもまったく違う部門への異動は、左遷を意味することもある。
戸惑う有紗に、口頭にて辞令を伝えた浜田は、穏やかに微笑んだ。
「心配しなくても君に問題があったからという理由ではない。むしろその逆だ。君の能力と頑張りが認められたということなんだよ」
「認められた……ですか?」
「そう。これは副社長の直々のご指名なんだ。詳しい事情は秘書課で聞くと思うけど、私としても君の能力が活かせる道なんじゃないかと思う。もちろん、海外事業部としては君を失うのは痛手だがね」
そして迎えた異動初日、秘書課へ出勤した有紗を迎えたのは、有紗がはじめて龍之介と言葉をかわした日に彼についていた千賀という男性秘書だった。
互いに自己紹介を済ませた後、彼は有紗を二十人ほどいる秘書課の社員たちに紹介した。さらにその中のひとり、着席してパソコンに向かっている女性を有紗に紹介する。
「真山さん、彼女は渡辺詩織さん」
「よろしくお願いします」
有紗が彼女に向かって頭を下げると、彼女は座ったまま値踏みするように有紗の頭からつま先までを見る。最後に勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「よろしく」
「彼女には、副社長の第二秘書をしてもらっている」
千賀の言葉に、有紗は丸山から聞いた龍之介の結婚の話を思い出した。
龍之介の第二秘書が婚約者だというあの話だ。では彼女が、龍之介の婚約者か。
改めて見ると、確かに彼女は一般の社員と雰囲気が異なっていた。
一カ月後、有紗に異動の辞令が下りたからだ。
異動先は秘書課。時期はずれ、それもまったく違う部門への異動は、左遷を意味することもある。
戸惑う有紗に、口頭にて辞令を伝えた浜田は、穏やかに微笑んだ。
「心配しなくても君に問題があったからという理由ではない。むしろその逆だ。君の能力と頑張りが認められたということなんだよ」
「認められた……ですか?」
「そう。これは副社長の直々のご指名なんだ。詳しい事情は秘書課で聞くと思うけど、私としても君の能力が活かせる道なんじゃないかと思う。もちろん、海外事業部としては君を失うのは痛手だがね」
そして迎えた異動初日、秘書課へ出勤した有紗を迎えたのは、有紗がはじめて龍之介と言葉をかわした日に彼についていた千賀という男性秘書だった。
互いに自己紹介を済ませた後、彼は有紗を二十人ほどいる秘書課の社員たちに紹介した。さらにその中のひとり、着席してパソコンに向かっている女性を有紗に紹介する。
「真山さん、彼女は渡辺詩織さん」
「よろしくお願いします」
有紗が彼女に向かって頭を下げると、彼女は座ったまま値踏みするように有紗の頭からつま先までを見る。最後に勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「よろしく」
「彼女には、副社長の第二秘書をしてもらっている」
千賀の言葉に、有紗は丸山から聞いた龍之介の結婚の話を思い出した。
龍之介の第二秘書が婚約者だというあの話だ。では彼女が、龍之介の婚約者か。
改めて見ると、確かに彼女は一般の社員と雰囲気が異なっていた。