御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
彼の元で働きたい。彼のために、彼が動かす会社のために、できることを精一杯やりたい。
恐れる気持ちはまだあるけれど、迷いはもうなかった。膝に置いた手をギュッと握る。
「わかりました。精一杯頑張ります。よろしくお願いします」
龍之介が満足そうに微笑んで立ち上がる。
つられて立ち上がった有紗に向かって右手を差し出した。
「よろしく」
「はい」
有紗は答えてその手を握る。自分の手を包む大きな手の温もりに胸の鼓動がトクンと鳴った。
「じゃあ、秘書室へ戻っていいよ。さっそく千賀から引き継ぎを受けてくれ」
「はい」
部屋を出る直前で、彼は足を止めて少し考える。そして有紗を振り返り、やや言いにくそうに口を開いた。
「いずれはわかることだから、前もって伝えておく。第二秘書の渡辺さんのことだ」
「はい」
「彼女はJEDグループの創始者、今は亡き渡辺正三郎氏のお孫さんだ。正三郎氏は私が大変お世話になった方だ。彼女の父親の正彦社長から社会勉強をさせたいからと個人的に頼まれてお預かりしている。一応私の第二秘書ということになっているがそれはあくまでも形だけ、実質的には私の秘書業務は千賀ひとりでやってもらっている。だから君もそのつもりでいてほしい。やや込み入った事情で申し訳ないが」
つまりは彼女に仕事をさせないでほしいという話だ。彼女が秘書ではなく彼の婚約者なのだとしたらあたりまえだ。
「わかりました。そのつもりで対応します」
有紗は素直に頷いて、扉まで来て頭を下げる。
「それでは失礼いたします」
部屋を出て扉を閉める。心を落ち着けるため、その場で深呼吸をした。
恐れる気持ちはまだあるけれど、迷いはもうなかった。膝に置いた手をギュッと握る。
「わかりました。精一杯頑張ります。よろしくお願いします」
龍之介が満足そうに微笑んで立ち上がる。
つられて立ち上がった有紗に向かって右手を差し出した。
「よろしく」
「はい」
有紗は答えてその手を握る。自分の手を包む大きな手の温もりに胸の鼓動がトクンと鳴った。
「じゃあ、秘書室へ戻っていいよ。さっそく千賀から引き継ぎを受けてくれ」
「はい」
部屋を出る直前で、彼は足を止めて少し考える。そして有紗を振り返り、やや言いにくそうに口を開いた。
「いずれはわかることだから、前もって伝えておく。第二秘書の渡辺さんのことだ」
「はい」
「彼女はJEDグループの創始者、今は亡き渡辺正三郎氏のお孫さんだ。正三郎氏は私が大変お世話になった方だ。彼女の父親の正彦社長から社会勉強をさせたいからと個人的に頼まれてお預かりしている。一応私の第二秘書ということになっているがそれはあくまでも形だけ、実質的には私の秘書業務は千賀ひとりでやってもらっている。だから君もそのつもりでいてほしい。やや込み入った事情で申し訳ないが」
つまりは彼女に仕事をさせないでほしいという話だ。彼女が秘書ではなく彼の婚約者なのだとしたらあたりまえだ。
「わかりました。そのつもりで対応します」
有紗は素直に頷いて、扉まで来て頭を下げる。
「それでは失礼いたします」
部屋を出て扉を閉める。心を落ち着けるため、その場で深呼吸をした。