御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
「やりにくいだろうとは思う。……申し訳ない。なにか困ることがあれば言ってくれ」
「いえ、大丈夫です」
有紗が即座に答えると、彼は安堵したように口もとに笑みを浮かべた。
「まぁ、いつまでもというわけではない。長くてあと一年くらいかな」
そう言って彼は、光る数字に視線を送る。
その綺麗な横顔を見つめながら有紗の胸に複雑な想いが広がっていく。
『あと一年』
つまりは、そのくらいで彼らの結婚が決まるということだろう。
そしたらさすがに詩織は家庭に入るだろうから、退職するということだ。
——政略結婚。
丸山から聞いた言葉を有紗は思い浮かべていた。
ここ三カ月の間、ふたりを見ていた有紗の印象は、恋人同士という表現はどこかしっくりこないというものだ。
龍之介は、彼女に対して気を遣って丁寧に接してはいるものの"愛している"という感じがしない。
異動直後に詩織から『私は副社長を精神面をお支えしますから、あなたは雑用をお願いね』と言われていなかったら、縁談の話はただの噂だったのでは?と思っただろう。
だがそれも政略結婚ならば納得がいく。
家同士、会社同士の繋がりを作るための結婚ならば、個人的な気持ちは二の次なのだろうから……。
と、そこまで考えて。
——ダメ、こんなこと考えちゃ。
有紗は自分の考えにストップをかける。
「いえ、大丈夫です」
有紗が即座に答えると、彼は安堵したように口もとに笑みを浮かべた。
「まぁ、いつまでもというわけではない。長くてあと一年くらいかな」
そう言って彼は、光る数字に視線を送る。
その綺麗な横顔を見つめながら有紗の胸に複雑な想いが広がっていく。
『あと一年』
つまりは、そのくらいで彼らの結婚が決まるということだろう。
そしたらさすがに詩織は家庭に入るだろうから、退職するということだ。
——政略結婚。
丸山から聞いた言葉を有紗は思い浮かべていた。
ここ三カ月の間、ふたりを見ていた有紗の印象は、恋人同士という表現はどこかしっくりこないというものだ。
龍之介は、彼女に対して気を遣って丁寧に接してはいるものの"愛している"という感じがしない。
異動直後に詩織から『私は副社長を精神面をお支えしますから、あなたは雑用をお願いね』と言われていなかったら、縁談の話はただの噂だったのでは?と思っただろう。
だがそれも政略結婚ならば納得がいく。
家同士、会社同士の繋がりを作るための結婚ならば、個人的な気持ちは二の次なのだろうから……。
と、そこまで考えて。
——ダメ、こんなこと考えちゃ。
有紗は自分の考えにストップをかける。