御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
彼らがどのような関係かなど、自分には関係ないことだ。有紗が自分に言い聞かせたその時。
ポーン。
音が鳴って、エレベーターが停止する。エントランスに出ると、車寄せに龍之介専用車が停まっていた。
有紗は行き先について運転手に引き継ぎをする。
龍之介が後部座席に回り込み、自らドアを開けた。
「ありがとう。手土産の方をよろしく頼む。君もタクシーを使えよ」
風になびくクセのある黒い髪に、有紗の胸がキュッとなった。
音もなく走り去る黒い車を見つめて有紗は暗澹たる思いになる。
本当はもう気がついている。
龍之介が詩織を愛していないように見えるのは、自分の願望に過ぎないことを。
会社では他人行儀に接しているだけで、ふたりはちゃんと愛を育んでいるはずだ。
ビジネスの相手でなければエストニア大使館に行くのは詩織だった。
完全なるプライベートなら、彼の隣にいるのは彼女なのだから……
有紗は、顔を上げて目を閉じる。自分の中のある彼への想いに蓋をする。息を吐いて目を開け、振り返って歩きだした。
ポーン。
音が鳴って、エレベーターが停止する。エントランスに出ると、車寄せに龍之介専用車が停まっていた。
有紗は行き先について運転手に引き継ぎをする。
龍之介が後部座席に回り込み、自らドアを開けた。
「ありがとう。手土産の方をよろしく頼む。君もタクシーを使えよ」
風になびくクセのある黒い髪に、有紗の胸がキュッとなった。
音もなく走り去る黒い車を見つめて有紗は暗澹たる思いになる。
本当はもう気がついている。
龍之介が詩織を愛していないように見えるのは、自分の願望に過ぎないことを。
会社では他人行儀に接しているだけで、ふたりはちゃんと愛を育んでいるはずだ。
ビジネスの相手でなければエストニア大使館に行くのは詩織だった。
完全なるプライベートなら、彼の隣にいるのは彼女なのだから……
有紗は、顔を上げて目を閉じる。自分の中のある彼への想いに蓋をする。息を吐いて目を開け、振り返って歩きだした。