御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
気まずい思いで有紗が言うと、彼女たちは顔を見合わる。そして呆れたようにため息をついた。

「ねえ、真山さん。ここ会社じゃないんだよ? 飲み会なんだから、ノリを合わせてくれなきゃ」

「そうそう、仕事のことは忘れてさ」

「ごめん……だけど、ノリでも言えないものは言えない」
 
場の空気を壊しているとは思いつつ、どうしようもなくて有紗は言う。

会社の外だろうが秘書としての役割は変わらない。
 
その場がしらけた空気になる。
 
ひとりが、舌打ちをした。

「じゃあ、もういいわ」
 
そう言って有紗に背を向ける。

「行こう」
 
あとのふたりも続いた。

「なんなのあれ」

「感じ悪ぅ〜」

「自分は特別だって思ってんじゃない? ただの秘書のくせに」
 
なんとも後味の悪いやり取りに、有紗はため息をつく。

やっぱり来るんじゃなかったと後悔する。
 
その後は親しい同期に声をかけられ、どうにか気分を持ち直した。
 
だが、会の終わりにまた一悶着あった。
 
場がお開きになり、皆が店から通りへ出た時のことだった。

「じゃあ、解散でーす。また次回メールを回しますので参加よろしく!」
 
幹事が言って、皆駅の方向へ歩きはじめる。

「久しぶりに話せて楽しかったよ。また参加してよね、有紗。てか、今度はふたりで飲みにいこうか」
 
後半ずっと一緒にいた同期が有紗の腕を掴んで言う。

「うん、私はふたりの方が気楽かな」
 
有紗が頷いた時。

「お高く止まっている人は、参加しなくて結構でーす」

「秘書の人は、一般社員の集まりには来ないでくださーい」
 
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