御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
彼は常に会社にとって重大な決断を迫られる立場にいる。その重圧は有紗には想像もつかないものなのだろう。
しかもそれを誰かと共有することもできないのだ。
孤独との闘いでもある。弱音を吐くわけにいかないカリスマはこんな方法で息抜きをしていたわけだ。
「時々、ここへ来るんだよ。今は季節がいいから……と。君には知られるわけにいかなかったかな」
龍之介が肩をすくめていたずらっぽい目で有紗を見た。
彼の言うことは間違いない。秘書としとは、苦言を呈する必要がある場面だった。
海を見ること自体は問題ない。だがそれならば、セキュリティの観点から運転手に自宅からここまで送ってもらうべきだ。
だが彼にとってはそれでは意味がないのだろう。
「そんなことは……確かに……おひとりは心配ですが」
秘書としての役割と彼自身を心配する気持ちに、有紗の心はゆらゆら揺れる。
どう答えていいからわからずにごにょごにょ言う。
「十分に気をつけていただく必要がありますが……その、週刊誌の記者がいないとも限らないですし」
龍之介がふっと笑った。
「うん、気をつけてはいるよ。普段は知り合いを見かけても声をかけることはないし。でも今日は君が……その、話をしていた内容が私に関わることだったから、どうしても放っておけなくて」
真剣な表情に戻り本題に入った彼に、有紗の胸がドキッとした。
「あの……すみませんでした。あの場でお名前が出てしまって……」
「いや、さっきも言ったが君が謝ることではない。むしろ礼を言うべきだ。君は、私のことを彼女たちに話さなかったのだろう?」
「それは秘書としてあたりまえのことです。私は副社長のことに関してどんなにささいなことも一切誰にもお話ししません。たとえ相手が家族でも」
言葉に力を込めて有紗は言う。そうでなくては彼は安心して仕事にまい進できなくなる。重圧を背負い孤独と闘い続ける彼の心の負担を少しでも軽くしたい一心だった。
しかもそれを誰かと共有することもできないのだ。
孤独との闘いでもある。弱音を吐くわけにいかないカリスマはこんな方法で息抜きをしていたわけだ。
「時々、ここへ来るんだよ。今は季節がいいから……と。君には知られるわけにいかなかったかな」
龍之介が肩をすくめていたずらっぽい目で有紗を見た。
彼の言うことは間違いない。秘書としとは、苦言を呈する必要がある場面だった。
海を見ること自体は問題ない。だがそれならば、セキュリティの観点から運転手に自宅からここまで送ってもらうべきだ。
だが彼にとってはそれでは意味がないのだろう。
「そんなことは……確かに……おひとりは心配ですが」
秘書としての役割と彼自身を心配する気持ちに、有紗の心はゆらゆら揺れる。
どう答えていいからわからずにごにょごにょ言う。
「十分に気をつけていただく必要がありますが……その、週刊誌の記者がいないとも限らないですし」
龍之介がふっと笑った。
「うん、気をつけてはいるよ。普段は知り合いを見かけても声をかけることはないし。でも今日は君が……その、話をしていた内容が私に関わることだったから、どうしても放っておけなくて」
真剣な表情に戻り本題に入った彼に、有紗の胸がドキッとした。
「あの……すみませんでした。あの場でお名前が出てしまって……」
「いや、さっきも言ったが君が謝ることではない。むしろ礼を言うべきだ。君は、私のことを彼女たちに話さなかったのだろう?」
「それは秘書としてあたりまえのことです。私は副社長のことに関してどんなにささいなことも一切誰にもお話ししません。たとえ相手が家族でも」
言葉に力を込めて有紗は言う。そうでなくては彼は安心して仕事にまい進できなくなる。重圧を背負い孤独と闘い続ける彼の心の負担を少しでも軽くしたい一心だった。