御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
大袈裟なことを言う丸山に、有紗は苦笑する。

「買い被りすぎです。私はまだまだですよ。やっと仕事に慣れたところですし」
 
商社勤務は、早い人で五年、十年かかって一人前になる社員もいると言われている。有紗は総合職ではないが、二年目など赤子に毛が生えたようなものだ。

「そんなことないよ、真山さん優秀だから、十分助かってる。立派な戦力だよ」

「そう言ってもらえるのはありがたいですが」

「でもそのくらい優秀なら総合職も狙えたんじゃない? どうして一般職を受けたの?」
 
丸山からの質問に、有紗は手を止めて少し考えた。

「考えなくはなかったんですが、総合職より一般職の方が自分には向いてるような気がしたんです」
 
昔から真面目だけが取り柄だった有紗は、やればやっただけ結果が出る勉強が好きだった。

テストの点数はよかったが、代わりにディベートやスピーチなど、自己主張が必要で、人前で話すタイプの課題は苦手だったのである。
 
世界中に支社があり労働環境がずば抜けていい天瀬商事は、就職活動において第一志望だったが、自分が総合職とし取引先と渡り合えるような自信はなかった。

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