御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
まるで聞き分けのない子供のように彼は言う。そんな彼にやや面食らいながら有紗は答えた。
「ありがとうございます。お気持ちは嬉しいですが、こんな高級なチョコレートいただくなんて恐れ多いです……」
感想を言うために、半ば仕事だと思っていたから食べたのだ。
自分のためにと言われていたら、口にできなかったに違いない。なにせひと口数千円もする代物だ。次からは阻止しなければ。
龍之介が目を細めて首を傾げた。
「千賀から私の土産について引き継いでいないのか?」
「え? 引き継ぎ……ですか?」
その問いかけに有紗は瞬きをしながら記憶を辿る。
千賀からは彼についてありとあらゆることを引き継いだ。
業務上の事柄だけでなく、龍之介の食べ物の好みや、持ち物や着ているスーツのブランド、愛飲しているコーヒー豆の種類……。
もちろん彼に快適に仕事をしてもらうためだ。
すべて頭に入っていると思っていたが、『土産』というキーワードで思いあたることはなかった。
「申し訳ありません。心あたりがなくて……」
有紗が謝ると、龍之介は咳払いをする。そしてやや大袈裟にかしこまって口を開いた。
「私が自ら買ってかえった土産は、文句を言わずに第一秘書がもらうこと。私の秘書になるにあたっての、絶対に守ってくれと言ってあった基本中の基本なんだが……」
『基本中の基本』という言葉に、有紗はドキッとする。
彼の元で働くようになって半年以上が経つのに、知らなかったのが情けない。
「もちろん嫌いなものを押し付けるようなことはしない。先日君がチョコ好きだと言っていたから買ってきたんだ。千賀には……マカロンだったよ」
「マカロン……ですか」
「ああ。彼は受け取ると必ず私の目の前で嬉しそうに食べていた。これからは君も同じようにするように」
真面目な顔で言う龍之介に、有紗は頭を上げる。
「かしこまりました。以後……気をつけます」
「ありがとうございます。お気持ちは嬉しいですが、こんな高級なチョコレートいただくなんて恐れ多いです……」
感想を言うために、半ば仕事だと思っていたから食べたのだ。
自分のためにと言われていたら、口にできなかったに違いない。なにせひと口数千円もする代物だ。次からは阻止しなければ。
龍之介が目を細めて首を傾げた。
「千賀から私の土産について引き継いでいないのか?」
「え? 引き継ぎ……ですか?」
その問いかけに有紗は瞬きをしながら記憶を辿る。
千賀からは彼についてありとあらゆることを引き継いだ。
業務上の事柄だけでなく、龍之介の食べ物の好みや、持ち物や着ているスーツのブランド、愛飲しているコーヒー豆の種類……。
もちろん彼に快適に仕事をしてもらうためだ。
すべて頭に入っていると思っていたが、『土産』というキーワードで思いあたることはなかった。
「申し訳ありません。心あたりがなくて……」
有紗が謝ると、龍之介は咳払いをする。そしてやや大袈裟にかしこまって口を開いた。
「私が自ら買ってかえった土産は、文句を言わずに第一秘書がもらうこと。私の秘書になるにあたっての、絶対に守ってくれと言ってあった基本中の基本なんだが……」
『基本中の基本』という言葉に、有紗はドキッとする。
彼の元で働くようになって半年以上が経つのに、知らなかったのが情けない。
「もちろん嫌いなものを押し付けるようなことはしない。先日君がチョコ好きだと言っていたから買ってきたんだ。千賀には……マカロンだったよ」
「マカロン……ですか」
「ああ。彼は受け取ると必ず私の目の前で嬉しそうに食べていた。これからは君も同じようにするように」
真面目な顔で言う龍之介に、有紗は頭を上げる。
「かしこまりました。以後……気をつけます」