御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
「す、すごく美味しかったです……!」
 
有紗は慌てて、彼の言葉を遮った。今まで食べた中で一番美味しいチョコだった。気に入らなかったなんてありえない。

「ならよかった」
 
龍之介が満足そうに微笑んだ。
 
その笑顔に、有紗の胸がキュンと跳ねる。
 
そして同時にとてつもない不安に襲われる。
 
いくらダメだと言い聞かせても、この気持ちは止められない。

どんどん彼を好きになっていく。特別な意味などないチョコレートに、ときめきで胸がいっぱいになる。
 
叶わない恋だとわかっている。
 
決して期待などしていない。
 
——けれど。
 
彼が結婚してしまったら、自分はどうなってしまうのか、それがわからなくて不安だった。
 
詩織と夫婦になった彼のもとで、秘書を続けられるだろうか?
 
今まで通り冷静に?
 
彼が結婚してしまったら……。
 
その時、自分の心がどうなってしまうのかがわからなくてそれが怖くてたまらなかった。
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