御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
古い話を持ち出されて有紗は、バツが悪い気持ちになる。
「ご存知だったんですね。すみません……」
「いや、謝ることではないよ。そもそもあの会自体、私の自己満足のようなものだ。皆に、私のわがままに付き合ってもらっているようだからね」
「自己満足だなんてそんなこと……皆さん楽しみにしておられますよ」
有紗が本当のことを口にすると、彼はにっこりと笑った。
「ならいいけど。だけど君にはもっとご馳走するべきだったと思うよ。一番世話になっていたんだから。結果、チョコレートでお茶を濁してしまった」
「そんな……。チョコレート、すごく嬉しかったです」
彼からもらったチョコレートは、高級品だというだけでなく、彼からの労いと思いやりがこもったプレゼントだ。
口にするたびに、また頑張ろうという気持ちになった。
「今まで食べていたチョコレートが物足りなくなってしまいましたけど……」
「そう? ならこれからもいつでもご馳走するよ。いや君の故郷に定期的に送ろうか。君をそんな風にした責任をとらないと」
冗談を言って彼はくっくと笑う。仕事中とは違いリラックスした様子だった。
その彼の柔らかな眼差しを見つめながら、有紗の胸が複雑な色に染まっていく。
彼に惹かれる気持ちを止めることも。
恋しい想いを消すことも。
できるはずのないことだった。彼のすぐそばにいて、愛さないなんて無理なのだ。
けれどこんな思いに苦しむのは今日限り。もう解放されるのだ。
それなのに安堵するどころか寂しくてたまらない。
もう二度とこんな彼を見ることができないのだということがつらくて胸が張り裂けそうだった。
「……後任の方、早く決まるといいですね」
「ご存知だったんですね。すみません……」
「いや、謝ることではないよ。そもそもあの会自体、私の自己満足のようなものだ。皆に、私のわがままに付き合ってもらっているようだからね」
「自己満足だなんてそんなこと……皆さん楽しみにしておられますよ」
有紗が本当のことを口にすると、彼はにっこりと笑った。
「ならいいけど。だけど君にはもっとご馳走するべきだったと思うよ。一番世話になっていたんだから。結果、チョコレートでお茶を濁してしまった」
「そんな……。チョコレート、すごく嬉しかったです」
彼からもらったチョコレートは、高級品だというだけでなく、彼からの労いと思いやりがこもったプレゼントだ。
口にするたびに、また頑張ろうという気持ちになった。
「今まで食べていたチョコレートが物足りなくなってしまいましたけど……」
「そう? ならこれからもいつでもご馳走するよ。いや君の故郷に定期的に送ろうか。君をそんな風にした責任をとらないと」
冗談を言って彼はくっくと笑う。仕事中とは違いリラックスした様子だった。
その彼の柔らかな眼差しを見つめながら、有紗の胸が複雑な色に染まっていく。
彼に惹かれる気持ちを止めることも。
恋しい想いを消すことも。
できるはずのないことだった。彼のすぐそばにいて、愛さないなんて無理なのだ。
けれどこんな思いに苦しむのは今日限り。もう解放されるのだ。
それなのに安堵するどころか寂しくてたまらない。
もう二度とこんな彼を見ることができないのだということがつらくて胸が張り裂けそうだった。
「……後任の方、早く決まるといいですね」