御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
車の中
* * *
車に乗り込みドアが閉まるとしばらくして静かに発車する。龍之介は、花田文具のビルを横目に深いため息をついた。
——とりあえず、有紗と話しをする機会を作ることに成功した。
少々強引な手を使ってしまったが、背に腹はかえられない。
とはいえここからが勝負なのだが……。
「真山さんにお会いになれましたか?」
運転手が口を開いた。
「ああ、会えたよ」」
「お元気そうでしたか?」
「うん、明日本社に出社するよ」
龍之介が答えると、バックミラーごしの運転手の目元が緩む。その視線に、龍之介は複雑な気持ちになった。
龍之介の父親と同じ年の彼は、副社長就任以来ずっと龍之介専属としてついている人物だ。有紗のことをとても気に入っていた。
真面目で、非常に有能、それでいてその自分の能力をひけらかすことは一切ない彼女をかっていて、退職した時はひどく残念がった。
「副社長の秘書として復帰していただけるのでしょうか?」
「いや、それはまだ。……明日の話し合いしだいだな」
「そうですか。そうしていただけるとありがたいですね。真山さんほど副社長の秘書にぴったりな方はいませんから」
彼の意見には、龍之介も完全に同意だった。
彼女が退職してから今にいたるまで、二年もあったにもかかわらず、結局龍之介は彼女の後任を見つけられていない。
千賀を中心に秘書課全体でサポートしてもらっているのだ。
車に乗り込みドアが閉まるとしばらくして静かに発車する。龍之介は、花田文具のビルを横目に深いため息をついた。
——とりあえず、有紗と話しをする機会を作ることに成功した。
少々強引な手を使ってしまったが、背に腹はかえられない。
とはいえここからが勝負なのだが……。
「真山さんにお会いになれましたか?」
運転手が口を開いた。
「ああ、会えたよ」」
「お元気そうでしたか?」
「うん、明日本社に出社するよ」
龍之介が答えると、バックミラーごしの運転手の目元が緩む。その視線に、龍之介は複雑な気持ちになった。
龍之介の父親と同じ年の彼は、副社長就任以来ずっと龍之介専属としてついている人物だ。有紗のことをとても気に入っていた。
真面目で、非常に有能、それでいてその自分の能力をひけらかすことは一切ない彼女をかっていて、退職した時はひどく残念がった。
「副社長の秘書として復帰していただけるのでしょうか?」
「いや、それはまだ。……明日の話し合いしだいだな」
「そうですか。そうしていただけるとありがたいですね。真山さんほど副社長の秘書にぴったりな方はいませんから」
彼の意見には、龍之介も完全に同意だった。
彼女が退職してから今にいたるまで、二年もあったにもかかわらず、結局龍之介は彼女の後任を見つけられていない。
千賀を中心に秘書課全体でサポートしてもらっているのだ。