御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
心配そうに自分を見つめる視線に、すぐにでも抱きしめて連れ去りたい衝動に駆られたが、どうにかその気持ちを押し殺した。
そして龍之介は、自分の想いを再確認したのだ。
——やはり自分はあの夜と少しも変わらずに、彼女を深く愛している。
二年の月日を経てもなお、色褪せることのない自分の気持ちを。
彼女のためだと自分自身に言い聞かせ、忘れようとした日々はまったくの無駄だった……。
「副社長」
運転手に声をかけられて、龍之介は前方に視線を移した。
「黒の軽自動車につけられているようですが、いかがいたしましょう?」
その言葉に、龍之介は振り返る。
斜め後ろを走る車の車種と運転手に見覚えがあった。
龍之介のゴシップを狙う週刊誌の記者だ。
「放っておけ。どうせ本社に帰るだけだ」
「かしこまりました。いくら追いかけてもなにも撮れないのに、ご苦労さまですね」
運転手は慣れた様子で答えてハンドルを切る。こんなことはしょっちゅうだからだ。
——本当に、面倒な身の上になってしまったと、龍之介はため息をついた。
本来なら、芸能人でもない一企業の役員でしかない自分が、こんな風に週刊誌に追い回されることなどあり得ない。
それなのにこんなことになってしまったのは、海外駐在時代の自分の行いが原因だ。
龍之介が次期社長としての実力をつけるため、海外へ出ることになった頃、財閥系商社として創業以来トップを走り続けてきた天瀬商事の業績に、やや陰りが見られていた。
後継として正式に認められるために、父から課せられた至上命題は、業績の回復と海外においての自社の将来への道筋をつけること。
そのために龍之介は、人脈作りに奔走した。元華族の家柄出身ということを生かして各国の王族や有力者と付き合い、天瀬商事の海外での地位を確立していったのだ。
そして龍之介は、自分の想いを再確認したのだ。
——やはり自分はあの夜と少しも変わらずに、彼女を深く愛している。
二年の月日を経てもなお、色褪せることのない自分の気持ちを。
彼女のためだと自分自身に言い聞かせ、忘れようとした日々はまったくの無駄だった……。
「副社長」
運転手に声をかけられて、龍之介は前方に視線を移した。
「黒の軽自動車につけられているようですが、いかがいたしましょう?」
その言葉に、龍之介は振り返る。
斜め後ろを走る車の車種と運転手に見覚えがあった。
龍之介のゴシップを狙う週刊誌の記者だ。
「放っておけ。どうせ本社に帰るだけだ」
「かしこまりました。いくら追いかけてもなにも撮れないのに、ご苦労さまですね」
運転手は慣れた様子で答えてハンドルを切る。こんなことはしょっちゅうだからだ。
——本当に、面倒な身の上になってしまったと、龍之介はため息をついた。
本来なら、芸能人でもない一企業の役員でしかない自分が、こんな風に週刊誌に追い回されることなどあり得ない。
それなのにこんなことになってしまったのは、海外駐在時代の自分の行いが原因だ。
龍之介が次期社長としての実力をつけるため、海外へ出ることになった頃、財閥系商社として創業以来トップを走り続けてきた天瀬商事の業績に、やや陰りが見られていた。
後継として正式に認められるために、父から課せられた至上命題は、業績の回復と海外においての自社の将来への道筋をつけること。
そのために龍之介は、人脈作りに奔走した。元華族の家柄出身ということを生かして各国の王族や有力者と付き合い、天瀬商事の海外での地位を確立していったのだ。