御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
笑いながら有紗が言うと、浜田は安心したような表情で言葉を続けた。

「まぁ、あれだけの方が独身なんだ。周りが落ち着かないのも仕方がない。……とはいえ副社長もいいお年だから、そろそろ縁談の話があってもよさそうなものだが」
 
龍之介は三十一歳。いつ結婚してもおかしくない年齢と言えるだろう。

実際、天瀬商事の後継者として正式に役員に就任してからは、ちらほらとそういう声も出はじめた。

だが今のところ具体的な話は聞かない。

「お相手はすごい人になりそうですね」
 
さっきの社員たちに囲まれていた完璧な彼の姿を思い出し、有紗は素直な感想を口にした。
 
有紗に、彼のプライベートなど知るよしもない。だがそんな有紗でも把握しているほど、彼の女性遍歴は華やかなので有名だった。
 
龍之介は、財界人の間だけでなく世間でもちょっとした有名人なのだ。
 
旧華族の天瀬家の御曹司である彼は、海外駐在時代は各国の社交界に顔を出して人脈を築いたのだという。
 
そこで彼は数々のロマンスをスクープされている。
 
あまりゴシップに興味のない有紗が把握しているだけでも、ヨーロッパ王族の娘、ハリウッド女優、石油王の娘などなど……。たびたび海外のタブロイド誌の誌面を賑わした。
 
そしてついたあだ名は『東洋の黒騎士』
 
彼の特徴である切れ長の目に見つめられると、どんなにプライドの高い美しい女性でも、彼の足元にひれ伏すのだと言われていた。そんな彼の結婚相手が普通の女性で務まらないのは確かだった。

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