御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
鎮痛な面持ちの龍之介に、有紗は慌てて首を振った。

「そんな……。私は、大丈夫です。でもどうすればいいか……」

「同居は、とりあえずの措置だ。これからのことは、追々決めていこう。子供たちのことを一番に考えて」

『子供たちのことを一番に考えて』
 
その言葉が、さっきから混乱してどうしていいからわからない有紗の頭にすっと届く。
 
今一番に考えるべきは子供たちのこと。
 
自分と彼との関係よりも、まずはそちらを優先するべきだ。

「この街は子育てをする環境としてはいい」
 
龍之介は立ち上がり机から資料を持ってくる。

ベリが丘における子育て関連の施設やサービスをまとめたものだ。
 
有紗は手に取り目を通す。
 
確かに彼の言う通りだった。
 
ノースエリア内には緑豊かな公園があり、欅坂近くには幼稚園や保育園がそろっている。

なにより安心なのはすぐ近くにベリが丘総合病院があることだ。
 
ベリが丘総合病院は、日本屈指の最先端医療を提供する病院で二十四時間救急対応している。

ノースエリアの患者には、送迎のサービスまであるという。

よく熱を出す双子を抱える有紗にとって、これ以上心強いことはない。
 
今のアパートは病院から遠いため、ふたりを連れての通院は大変で、しかも病院が開いていない時間帯に限って熱を出すものだから、心配が絶えないのだ。
 
病院の資料を読み込む有紗に、龍之介が口を開いた。

「もちろん、私がいる時は車を出すが、いない時も安心なんじゃないかな」
 
有紗は資料から顔を上げる。

「……安心……。確かにそうですね」
 
有紗の心が少し心が動いた。
 
龍之介が身を乗り出した。

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