御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
ならばと、有紗の心はぐらぐら揺れた。嫌になってやめたわけじゃなく、むしろその逆だったのだ。

キャリアを続けられるまたとないチャンスだ。

「同居は……決定ですか?」
 
尋ねると彼は申し訳なさそうにしながらも、揺らぐことなく頷いた。

「ああ。子供たちの保育園もすぐ近くにある。引っ越しを終えたらすぐにでも通えるよう手続きするよ。子供たちのことを最優先に決めてくれ」

『子供たちのことを最優先に』
 
その言葉が有紗の背中を押す。
 
この先どうなるのかまったくわからない。

だからこそ今は考えうる限り最善の選択をするべきだ。子供たちのために。

「わかりました。秘書に戻らせていただきます」
 
真っ直ぐに彼を見てそう言うと、龍之介が満足そうに頷いた。
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