御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
第4章 思いがけないプロポーズ

はじまった、同居生活

「やー! あーう!」

「たばばば」
 
圭太と康太が、楽しそうに柔らかいラグの上を転げ回る。
 
有紗が畳んだばかりの洗濯物が並べてあるのもおかまいなしだから、タオルまみれである。

「けいくん、こうくん。ママせっかく畳んだのに」
 
有紗は笑みを浮かべながら一応抗議するが、彼らが聞くはずもない。むしろなおさら盛り上がるばかりである。

夢中になって、タオルを引っ張りあったり放り投げたりしている。
 
有紗はそのタオルをキャッチして、無駄だと思いながら畳む。

でもまたそのタオルはすぐに宙を舞う。さっきからこの繰り返しである。
 
有紗がベリが丘ノースエリアにある龍之介の自宅に双子とともに引っ越してきて一週間が経った。
 
副社長室で彼と話をしたあの日、有紗が転勤に同意すると、龍之介はすぐに引っ越しから保育園の手続きに至るまですべての手筈を整えた。

そして有紗には花田文具への挨拶を済ませた後、二週間休みを取るように命じた。

「育休だ。引っ越しだけじゃなくて子供たちがこっちの生活に慣れるのに時間が必要だろう。二週間で足りなければ、延長もできる」
 
転属してすぐに育休なんて申し訳ないが、確かに双子を連れての引っ越しは大変だ。

新しい生活に子供たちがどう反応するのかもわからなかったから、有紗は素直にその話を受けた。

一方で、龍之介本人は次の日から海外出張で日本を離れることになっていた。

『手伝えたくて申し訳ない。信頼できる人間を引っ越しの手伝いとして依頼した。家に来てからの移動手段として車を手配しておく。なにかあれば連絡してくれ』
 
すべてを整えてくれたというのに、心底申し訳なさそうに彼は言った。
 
もとより、有紗と子供たちのことに手伝ってもらう理由はない。それに有紗はその方がいいとも、感じていた。

子どもたちをいきなり彼に会わせるのが不安だったからだ。
 
引っ越しだけでも彼らにとっては、一大事。

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