御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
住む家と保育園がいっぺんに変わるなんて、世界がひっくり返ったように感じるはずだ。

それなのに、いきなり知らない男性と暮らすのはハードルが高すぎる。
 
とはいえ、引っ越しはすべてが順調に進んだ。

龍之介からは、家財道具はすべて揃っているから何も持ってこないでいいと言われていたが、本当にその通りだったからだ。

しかもそれは子供たちに合わせたものだった。
 
引っ越し当時、迎えにきた車に乗って家についた有紗と子供たちを迎えたのは龍之介からすべてを任されたというコーディネーターたち。

彼らは有紗にカタログを差し出した。広い彼のリビングルームはがらんとしていた。

『もともとあった小さなお子さまがいるご家族にはそぐわない家具は、引き上げさせていただいております。この中から、真山さまがお子さまたちにいいと思われるものをお選びください。すぐに設置いたします。お使いになられてみてから合わなければ交換もできますよ』
 
唖然としながらやんちゃな双子がいても危険ではなさそうなものをいくつか選ぶ。

値段が書かれていなくて不安だったが、テーブルも椅子もないのは不便だからだ。
 
すると午後には、すべての物が運び込まれた。

おまけに、ふたりの服や食器、おむつなどの消耗品から離乳食に至るまですべてのものがそろっていた。

あっという間に、有紗と子供たちが住むのに快適な家になったというわけだ。
 
そして引っ越しが終わると『ベリが丘保育園』への見学が始まった。保育園は、ビジネスエリアに程近いベリが丘総合病院のすぐ近くだ。

欅坂の桜並木が見える広い園庭がある新しい建物だった。
 
園児の数はそれほど多くはないようで、その分、先生たちの目が行き届いている。

見学の時から園庭の遊具に目を輝かせていたふたりは、さっそく次の日から、数時間ずつ通うことになった。
 
一週間が経った今は、もうすっかり慣れて、朝の九時から夕方の四時までを保育園で過ごしている。

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