御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
でもこの気持ちは、親切にしてくれる彼への裏切りに他ならないのだ。
 
子供たちに対して父親としての責任を果たそうとしている彼への……。
 
……とはいえ。
 
洗濯物を畳む手を止めて、有紗は家の中を見回した。
 
同居と言っても有紗が当初想像していたのとは随分違うものになりそうだった。なにしろ家が恐ろしく広い。
 
広い敷地に建つ邸宅は、一階にリビングとダイニング、キッチンと水回りがあり、いくつかの個室がある。

有紗はそのひとつを使わせてもらうことになった。
 
龍之介の書斎と寝室は二階で、専用のバスルームがついている。
 
一般的な一軒家の造りではあるもののひとつひとつが大きい。

これだけ広ければ、家にいてもあまり互いの気配を感じないですむだろう。
 
しかも彼は常に多忙であまり家にいないから、家で顔を合わせることは少なそうだ。

同居というよりは、ルームシェアのような感じになるだろう。
 
ならば、なんとか気持ちを気づかれずに、やっていけるかもしれない……。
 
そんなことを考えている有紗の手から、圭太が洗濯物を奪いソファの方へ放り投げる。

「あ、けいくん!」
 
そのすきに、康太が畳み終えた洗濯物の山にダイブした。

「こうくん!」
 
ふたりともきゃーきゃー言いながらゴロゴロと転がっている。

「もう……」
 
このままではいつまで経っても洗濯物は片付きそうにない。

笑い転げるやんちゃな怪獣を見ているうちに、有紗も笑いが込み上げてくる。

「そんなことする子は……こうしてやる!」
 
< 98 / 178 >

この作品をシェア

pagetop