御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
そう言ってふたりともを捕まえて優しくラグに寝かせる。

ふたり同時にくすぐった。
 
ふたりが、嬉しそうにきゃー!と声をあげてジタバタと暴れ出した。
 
有紗は自分もラグに転がって、子供たちを抱きしめた。

「観念した?」

「あばば」

「うー」
 
ふたりともにキスをして頬と頬をくっつけると、胸の中が幸せな思いでいっぱいになる。

この時間が自分を強くすると有紗は思う。
 
子供たちと自分のいく末がどうなってしまうのか、わからなくて不安だ。

でも自分がなんとかすると勇気が湧いてくるのだ。
 
そこでふと、物音がしたと思い顔を上げて、ハッとする。
 
カバンを手にしたスーツ姿の龍之介が立っていた。

「あ、おかえりなさいませ」
 
有紗は慌てて起き上がる。立ち上がろうとするのを彼は止めた。

「いいよ、そのままで。仕事中じゃないんだから」
 
有紗は彼の言う通りその場に座りなおす。が、なんだか居心地が悪かった。

「お早いおかえりだったんですね……」
 
時刻は午後四時半、彼が今日の昼の便で帰国するのは知っていたが、こんなに早く帰宅するとは思わなかった。

海外出張の際は大抵彼は空港から直接会社へ行き、残務処理をする。まだ外が明るい時間に帰宅することなんて有紗が知る限りはない。

「声もかけずに悪かった。あまりにも楽しそうだったんで」
 
そう言って彼は、優しい目でこちらを見ている。

そのままこちらへ来ようと一歩踏み出したところで足を止める。

双子がやや不安そうに、有紗の両脇にしがみついて、龍之介を見ているからだ。

「いきなりは、怖いかな。……着替えてくるよ」
 
龍之介が笑みを浮かべて双子をジッと見つめる。そしてスーツケースを持ち二階へ上がっていった。
 
いよいよ彼との新しい生活がはじまる。
 
それを実感して、有紗はドキドキする。両脇の双子をギュッと抱きしめた。
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