はいはい、こちら中野通交番です。 ただいま就寝中。

3.

 月曜日でーーーーーす。 今日の姉ちゃんは休みなんだって。
「だってさあ、日曜日にお客さんの相手をしてたのよ。 分からないおじいちゃんで大変だったんだからね。」 「そういう姉ちゃんだってこの先どうなるか分からないだろうに、、、。」
「いいの。 そうなったらあんたに面倒を見てもらうから。」 「俺だって結婚するから出来ないよ。」
「あーーーら、何処のどなたとなさるおつもりですか?」 「それは、、、これから探すよ。」
「あんたには無理ねえ。 仕事だって暇だし、そんなんで女が振り向くと思って?」 「振り向くかどうかはやってみないと分からんだろう?」
「やる前から分かってるわよ。 あんたに惚れてくれる女なんてぜーーーーーーーったいに居ませんから。」
 そこに母ちゃんがやってきた。 「まあまあ、似た者同士で賑やかですわねえ。」
「似た者同士?」 「あんたら揃いも揃って結婚できそうにないし困ったもんだわ。」
「お母さんまで、、、。」 何とも複雑な顔をする姉ちゃんを残して俺は交番へ出掛けるのであります。

 ったくもう、、、余計なことを言う母ちゃんだなあ。 でもまあ当たってるから抗議はしないけどさあ。
姉ちゃんも35歳なんだよ。 そろそろ行ってくれないかなあ? でもその姉ちゃんも同じことを考えてるんだろうなあ。
冴えない姉と弟、、、。 何でこうなったんだろうねえ?
 さてと、今日も交番のドアを開けます。 中には誰も居ません。
居たら怖いわ。 無線もオッケーオッケー。
呼び出しもタレコミも無さそうだし、昼まではとにかく本でも読んでようかね。 買ってきたんだよ 西村京太郎。
 ファーーーーーー、お日柄も良さそうだし、絶好の欠伸日和だねえ。
前の通りをゴミ収集車が走って行きました。 ご苦労様でーーーーす。
たまに消防車も走ってきます。 見回りでもしてるのかなあ?
 この辺りは住んでる人もそんなに居ないから火事なんて、、、と思ったら3年くらい前にパン屋が燃えたのよね。
パンを焼いてる時に火を出したんだとか、、、。 ケガ人も居なかったけど、店は引っ越したよね。
なんかさあ、焼け跡ばかり増えてくるんだけど気のせいか?

 本を読みながらチラチラっと通りを見ますです。 歩いてる人は誰も居ませんねえ。
犬すら居ないじゃないか。 寂しすぎるよ ちょっと。
 って文句を言っても始まらぬ。 お前が犬になればいいってか?
よく言ってくれました。 そこのお兄さん。
あなたですよ あなた。 あなた最高だねえ。
って一人で盛り上がってみる。 バカみたい。

 「あの、、、、、。」 「はいはい。 何でしょう?」
「この辺に吉田真央って人は住んでますか?」 「は?」
「吉田真央って人を探してるんですけど、、、。」 「この辺は住宅街じゃないからね、、、表通りで探したほうがいいんじゃないのかい?」
「表通りはさっき見てきました。」 「そうかい。 じゃあ居ないかもね。」
「そうですか。」 若い男はガックリと肩を落として交番を出て行きました。 「気になるな。」
 そう思った俺は数年分のニュース記事を拾い読みしてみた。 すると、、、。

 『新聞販売店から出火。 火は4時間ほどで消し止められたが、焼け跡から女性の遺体が、、、。』という記事。

 本部のホームページで詳しく調べてみると焼死体で見付かったのは吉田真央さん 28歳、、、。
「ゲーーーーーーーー、死んでるやんけーーーーーーーー。」 俺は思わず叫んでしまった。
ということは、、、、、さっき訪ねてきた人ってまさか、、、、、、、、、、、、、、、、、。
あの幽霊さんのお友達とか? あの幽霊さんって誰なのよ?
真央さんが死んだのは5年前のことになってるから、、、うーーーーん、可能性は有るなあ。
恐いよ恐いよ。 なんて町なんだ ここは?
 さっきの男も幽霊なのかなあ? そういえば真央さん以外には誰も見付かってないんだよね。
 その時間には家族も居たはずだし、他の配達員も居たはずだし、、、。
なんで真央さんだけ? 分からんなあ。
 そんなわけで悩んでいる間に昼になったのでした まる

 昼とはいえ、辺りはまるで太古のようにシーンと静まり返っておりまする。 怖いやないかい。
見回りもせずにボーっとしておりますが、無線も静かなので居眠りしてしまいそう、、、。 ってか、もうしてるやんな。
あーあーあー、嫌になっちゃったあ。 あーあーあー。驚いたあ。
え? 漫談の見過ぎ? いいのよいいの。
ウクレレでも持ってきて歌いたいわーーーーーーー。 ウクレレ弾けないんだけどさ。
それを言っちゃおしまいよ お兄さん。 誰じゃーーーーーー?
 あたし、顔も姿も見せない風船の寅さんでございます。 それを言うなら「風店の寅さん」だろうがよ。
あーあ、暇すぎるよーーーーー、助けてくれーーーーーー!
パーッと大騒ぎでもしたらすっきりするかなあ? と、そこへ姉ちゃんがやってきました。
「何か用?」 「特段に用は無いんだけどさあ、あんたが暇だろうと思って、、、。」
「姉ちゃん、ここは子供の遊び場じゃないんだよ。」 「誰が子供よ?」
「あんただよ、あんた。」 「あたし? あたしは立派な大人よ。」
「証拠は?」 「証拠ねえ、、、。」
 姉ちゃんはしばらく考えてましたが、思い切ったようにブラウスを脱ぎました。
「やめてくれよ。 ここはストリップダンサーの寄り合いじゃないんだから。」 「あんただって見たいでしょ?」
「姉ちゃんの裸は子供の頃からずーーーーーーーーーーーーーーっと見てますけど。」 「もっと見てほしいのよ。」
「アホか。」 「アホでも馬鹿でもいいの。 あたしはあんたの姉ですから。」
「どういう意味だよ?」 「そういう意味よ。」
相変わらず訳の分からん姉と弟でございますなあ。 ちゃんちゃん。

 そんなことをやっている間にも世界は激動に激動を続けております。 ロシアは襤褸切れになってもやりたい放題にミサイルを打ってるし、、、。
イスラエルはイスラエルで何が正義なのか分からなくなっている。 正義の殺人鬼なんて居ないぞーーーー。
 中国は中国で何をしたいのかさっぱり分からない。 頭は悪いくせに騙すことだけはいっちょ前なんだからなあ。
北朝鮮は北朝鮮で食べ物が無くなって上から下まで乞食になってるし、、、。
ブクブク太ってるのはあの有名な黒電話一族だけ。 終わったね。
 台湾は台湾で国民党が何かやらかしそうだし、、、。
元々、国民党って蒋介石の一派だから中国本土から逃げてきたやつらだよね。 共産党にとっては敵のはず。
それが今はきもいくらいに仲良しだなんて、、、。
 フィリピンにも中国人スパイが紛れ込んでいましたね。 オンラインカジノ事件でやばかったあの場所、、、。
4万人の中国人を強制送還したのにスパイが残ってたなんて、、、。
しかも経歴不詳で市長になってるんでしょう? 何で?
 東京にもさあ、学歴詐称で知事になってる婆さんが居るけど、、、。 また選挙に出るってね?
公明党と一緒に政界から消えてほしいわよ。
 さあさあ、姉ちゃんが帰ったから見回りに行きましょうっと。 「やっとか?」なんて言わないでよ。
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