魅惑の絶対君主
「うん。お前も来なよ」
「っぅ、え……。もしかして、わたしはまたからかわれていますか?」
「お勉強だよ。俺はどうでもいいけど、知らねーよ? 売られた先でいきなり一緒に風呂に入れって強要されることがあっても」
「な……るほど……。たしかにそうですよね」
自分の置かれた状況を改めて思い出した。
いい商品なら、あらゆる要求に答えられるようにならなきゃいけないもんね。
いや、でも……。
「急にお風呂は、やっぱり恥ず、かし……」
「あーあ。真っ赤になっちゃったか。ごめんごめん、冬亜にはまだ早かったねえ」
急に小さい子を相手にするような口調に切り替わる。
唇に薄い笑みをたたえて、わたしを煽ってくる。
うぅ、バカにされてる……っ。
「い、いや……っ、できます、ちゃんとお背中流します」
まんまと煽りに乗せられて、そう口走った矢先。
「バァカ。男の言う“一緒に入る”は、えろいことするって意味だよ」
今度は急にトーンダウン。
熱を伴いながら、ぞくぞくっとした何かが背中を駆け抜けた。