魅惑の絶対君主


これ……昨日のベッドでの体勢とまったくおんなじだ。

相楽さんの脚の間に座らせられて、後ろから抱きしめられてる。


頭の中で記憶と勝手に重なってしまうから、そこから意識を逸らそうと会話を試みる。



「相楽さんて……こういうの、今までもやってきたんですか?」



初手にこの質問が出てくるあたり、我ながらアホだと思う。

話、全然逸しきれてない。



「商品として送り出した女が過去にもいるかってこと?」

「はい……そう、です」


「6.7人くらいだったかな」

「……へえ、そうなんですね」



今、胃のあたりがなんとなくツキっとしたのは、緊張してるからだよね。



「でも今までの女はみんな既に“完成”してたから、冬亜みたいに手は掛からなかったよ」



またちゃぷ……と音がして。

今度は、わたしの肩にこつんと頭を預けてくるから。
あやうく思考回路が寸断されかける。



つまり「お前は手が掛かる」、と。


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