魅惑の絶対君主
指先が、唇から、輪郭を伝って首筋に落ちてくる。
鎖骨に触れた瞬間、また刺激が走った。
悟られないよう、会話に集中しようと相手のセリフを反芻する。
「たしかに……取り立てにも来てましたもんね、相楽さん」
「言っとくけど取り立ても俺の専門外だから。あのときはたまたま同行しただけ」
「……そうだったんですか」
離れたかと思えば、また水音。
今度は下から、ふくらみをそっと包まれれば、いよいよ呼吸が危うくなってくる。
「サ、サービス残業ってことは……家でわたしの……訓練、を、してる時間のお給料は、出ないってことですよね」
「そうだね。金を貰えるのはオークション後。落札額に応じて俺の取り分が決まる」
「じゃあつまり……わたしが高く売れれば相楽さんの取り分も多くて、安かったら相楽さんの取り分も少ない……と」
それに対する返事はなかった。
けど、きっとそういうことだよね……。