魅惑の絶対君主
呼吸を封じられた瞬間、体の中で甘いのと熱いのが勢いよくぶつかった。
「や、ぁ〜〜っ、!」
何かが弾ける感覚。
つま先が水を蹴る。
わけもわからないまま乱れた呼吸を繰り返していると、なだめるようなキスが落ちてきた。
「ん……っ」
気だるい余韻の中に心地よい甘さが広がる。
強張っていた体が、少しずつほどけていくのがわかった。
ぼうっとして、ふわふわ宙に浮いてるみたい。
水の浮力のせいだけじゃ……なさそう。
「今の“気持ちい”って感覚、ちゃんと覚えといてね」
「……うん」
相楽さんが何か言ってるから、応えなくちゃと思うけど、もう頭が回らなくて……。
「忘れないうちに、もっかいやろっか」
心地よすぎて、うとうと、眠いような。
ぐるぐる渦巻く中に意識がすうっと引きずり込まれる寸前、
最後の力を込めて
「………うん」
と、もう一度返事をした。