魅惑の絶対君主

もうなりふり構わず暴れたけど、相楽さんはがっちりホールドして離してくれない。

発泡スチロールを運んでる?ってくらい涼しい顔。


恐るべし筋力と体感……。



「今の状況だったら“ベッドに連れてって……”が男には効くかも」



冷静にアドバイスしてくるところも憎たらしくて、悔しくて。

でも、わたしは常に従順でいなきゃいけないから、ただ唇を噛むしかない。


そうだよ、従順でいなきゃいけないのに……。

抵抗した挙句、“きらい”とまで言っちゃった。


遅れて焦りがやってくる。



「きらいは……嘘です」

「弁解の仕方まで下手くそか」


ため息とともにベッドに落とされた。



「自分で脱げる?」

「……はい」


少しだぼっとしたデザインの薄手のトレーナーに、おそるおそる手を掛ける。


大丈夫。この下にはまだインナーを着てるし、いっきに脱いじゃお。

気合を入れたのに、指先がいうことをきかなかった。

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