魅惑の絶対君主


これ、昨日のお風呂場でしたときとおんなじ感覚……。


今は、肌と肌が密着してる状態でもないし、唇以外の部分を弄ばれてるわけでもないのに。


甘い感覚で満たされて、満たされすぎて溺れちゃいそうな──。



何もわからないわたしに相楽さんは呼吸のタイミングをつくってくれた。

なのにうまく息を吸えなくて、永遠に酸素の薄い感覚のままキスが続いていく。



「自分から舌、絡められる?」

「わ、わかんな……ん、ぅ……」



相楽さんの手が頭の後ろに回る。

反対の手は、わたしの指先に絡んだ。


あ……これだめ。

甘さに呑みこまれて、ぐらんと眩暈がした。



そのタイミングを見透かしたように、相楽さんの唇がゆっくりと離れていく。



「よしよし、がんばったね」


相変わらず棒読みなセリフと、雑な頭ヨシヨシが降ってくる。

でも、不思議と子ども扱いだとかバカにされてるとかは感じなかった。

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