魅惑の絶対君主
あらかじめ用意してたわけじゃないのに、そんな質問がぽろっと零れる。
「そうだね」
「じゃあ、下の名前は」
「教える必要性を感じない」
「……たしかにそうですね」
いくらキスをしようと体を体を重ねようと、わたしは商品で、相楽さんは競売する側の人間──どこまでいっても赤の他人だもんね。
相楽さんは、どうせ3ヶ月で別れる相手のことを知っても意味ないって考えのかな。
……いや、そもそも関心がないんだろうな。
沈黙のあいまにホットミルクをはさむ。
「そういえば昨日、俺が仕事行ってるあいだは何してたの」
まさか話題を振られるなんて思いもせず、軽くむせてしまった。
「あーあ、慌てて飲むから」
「うっ、……ごほ」
慌てて飲んだわけじゃないよ。
びっくりしたからなの。
この人関心ないんだろうなって思ったタイミングで話しかけられて。